中国に参入する海外企業は、総じて北京や上海のような大都市を中心に据えがちである。しかし、これから急拡大する中間層をつかむには、中小都市への展開が不可欠だ。世界的経営コンサルティング会社BCGが新興国の消費者に直接インタビューをし、その消費マインドを描いた『世界を動かす消費者たち』の発刊を記念し、新興国の消費市場を読み解くヒントを提示する。


 2013年1月、中国の陳徳銘商務大臣(当時)は2013年の同国経済について、国内消費・投資の着実な伸びと海外からの堅調な投資が見込まれるとして、楽観的な見通しを示した。彼はこの所感のなかで、海外企業は中国における機会、特に多くの新たな中小都市・町の建設にともなう投資機会に魅力を感じるはずだと強調した。

 私たちも同感である。堅調な新規建築と急速な都市化により、消費やGDPの空前の成長が見込まれ、海外投資家の信頼も高まるだろう。

 私たちの著書『世界を動かす消費者たち』 の中で述べたとおり、都市化は中国経済を変革する最も強力な要因のひとつである。中国国家統計局によると、現在、中国の人口の51%、6億9100万人が都市部に居住している。ある調査によれば、2020年までに都市部の居住者は1億8800万人増え、約8億2400万人に達するという。これはつまり、2020年までに毎月、都市部居住者がおよそ150万人増えるということである。私たちの分析では、中国の都市部居住者はさらに2030年までに2億7000万人増えると予測している。

 しかし、中国の都市部人口の分布の仕方は多くの諸外国と異なり、大部分が人口50万~500万人の中規模都市に居住している。

 これまで中国に参入してきた欧米企業は概して、北京、上海、広州のような大都市を中心に展開してきた。しかし、これは間違いだと言わざるをえない。中国では全土に富裕な地域が散在し、西部の省の奥深くまで富が広がっている。

 私たちの分析によれば、中国の中間層の80%にリーチするためには、2005年には60都市に展開すればよかったが、今日では340都市に展開する必要がある。2020年には、同等のリーチを得るためには550の都市部(市と県内の市街地)への展開が必要となる。