私たちは中国の都市 を、「メガシティ」「クラスター・キャピタル」「スペシャリスト・ハブ」「ホライゾン・タウン」の4つのカテゴリーに分けて考えている。
●メガシティ:1000万人以上の人口を擁する北京、上海の両市は代表的なメガシティである。中国全土に人口1000万人以上の都市が8つあり、そのほかに500万人以上の都市が93都市ある。一方、アメリカでは人口500万人以上の都市はニューヨークのみである。
●クラスター・キャピタル:大慶、東莞、福州、天津、無錫、鄭州などが該当する。これらの都市は、より小規模な衛星都市に囲まれた商業の中心地である。たとえば無錫市は、江蘇省の半径約50キロメートル以内にある6都市(靖江、張家港、常熟、江陰、常州、蘇州)の中心都市である。同市単独では人口230万人で、中間層の消費者57万2000人を擁する。しかし、クラスターの一部とみなせば、人口690万人、中間層消費者150万人の市場の中心となる。
●スペシャリスト・ハブ:このカテゴリーの都市の成長は、地元の天然資源の開発や産業ハブの発展と密接に結びついている。安陽、亳州、成都、六安、随州、新郷、永州などがこれにあたる。
●ホライゾン・タウン:中国には、地理的に散在する小規模な新興都市が何百もある。これらの都市へのリーチは困難だが、まさに収穫時の市場機会が存在する。これらの地域の消費者は、より大きな都市の消費者と比べて基本的なニーズを抱えている場合が多いが、商品カテゴリーによっては、より値の張るラグジュアリー商品を購入したいという強い意欲ももっている。
さらに、期待をもって注視すべきトレンドがある。ウォールストリート・ジャーナルの2012年12月の記事によれば、中国の遠く離れた農村部から都市部へ出稼ぎに来ている労働者たち(報道によれば2011年時点で2億5200万人)が、都市部により長い期間とどまるようになっているということだ。もしこの現象が続けば、そして、もし中国政府が「戸口」(戸籍制度)を緩和すれば、こうした労働者は都市部の新たな強力な労働力となり、新中間層を構成する恐るべき一群となるだろう。
戸口により、出稼ぎ労働者たちは長年、子供の就学など都市住民向けの公共サービスから排除されてきた。彼らが都市の社会福祉を享受できるようになれば、収入の全てを貯蓄に回さなければというプレッシャーが緩み、さまざまな商品・サービスにお金を使おうと思うようになるだろう。これは、中国に投資する海外企業にとって見過ごしてはならない変化となろう。
HBR.org原文: China's Smaller Cities Are Home to Growing Middle Class January 25, 2013
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世界をリードする経営コンサルティングファームとして、政府・民間企業・非営利団体など、さまざまな業種・マーケットにおいて、カスタムメードのアプローチ、企業・市場に対する深い洞察、クライアントとの緊密な協働により、クライアントが持続的競争優位を築き、組織能力(ケイパビリティ)を高め、継続的に優れた業績をあげられるよう支援を行っている。1963年米国ボストンに創設、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年には名古屋に中部関西オフィスを設立。2013年12月現在、世界45カ国に81拠点を展開している。
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