P&Gは、自社の重要データをわかりやすく視覚化し全社で共通化することを重視している。その理由は、意思決定の質を高めるためだ。優れたビジュアル表示が同社にどう貢献しているのか、その一端が明かされる。
マネジャーは、重要なデータが図の形でビジュアルとして示されると、よりよい意思決定ができる――。そう信じる方であれば、情報をグラフィカルに表現する技術のイノベーションにはわくわくすることだろう(新しくて洗練されたツールの使用例としては、有名なハンス・ロスリングのTEDでのスピーチがわかりやすい)。しかし、あなたが大きな組織で働いていて、データのビジュアル化をうまく活用したいのであれば、重要なのは独創性よりも「共有性」であると私は考えている。データに関する全社共通のビジュアル表現を確立できれば、データの使い方を飛躍的に向上させ、意思決定と行動を促すことができる。
この点に関して私が引き合いに出せる最良の実例は、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)だ。同社はデータのビジュアル化を、マネジメントの主要ツールとして制度化している。ビジュアル・アナリティクスのソフトウェア〈スポットファイアー〉を提供する会社であるティブコとの協働により、P&Gは重要な情報をデスクトップ画面で視覚的に表示できるようにした。現在、5万人を超える同社の従業員が「ディシジョン・コックピット」にアクセスしている(下図参照)。