その事実を知ったときに、この子たちに都会の大手の予備校などで活躍されている講師の先生方の授業を無料・格安で提供することができたら絶対に使ってもらえるだろうな!と思いました。

 次に何をしたかといいますと、「我々が目指す未来」を見に行きました。韓国はすでにオンライン予備校「mega study」がデファクトスタンダードになっていたので、それを体感しにいきました。韓国では、20名ぐらいの高校生・大学生にインタビューしました。みんなが一様に「オンライン予備校は当たり前に使っている。いつでもどこでもカリスマ講師の授業をみて勉強できているよ」と言いました。そこでまた確信が高まりました。韓国の受験制度や文化は日本とは異なるので、韓国の受験環境そのものが我々の目指す未来というわけではありませんが、当たり前にオンラインで勉強する世界があることは実感できました。

「安かろう、悪かろう」というビジネスはするつもりありません。

――では、これまで塾に通っていない子どもたちがメインターゲットということでしょうか?

山口:センター試験を受ける受験生は約55万人います。また、我々の調査では、高校生で塾・予備校に通っている人は3分の1、総額で2500億円の市場だと見込んでいます。そして他3分の1の人は高校の授業で間に合っていたり、通塾を考えていない層です。残り3分の1は、経済的あるいは地理的な理由で塾に通えない子どもたちです。我々はこの最後の3分の1をメインに捉えています。月々3万円や4万円は払えないけど、受験勉強はしたい。それらのニーズを満たすだけで700億円の市場規模があるのではないかと考えました。

――2年たって現状はどういう状況ですか?

山口:無料会員は累計で100万人を超えました。我々のサービスに対する高校生の助成想起率で80%を超えました。会員の属性をみても今年度の受験生において2人に1人が利用してくれたことになります。有料会員も開始1年で数万人になり、大学受験予備校の生徒数ではベスト10に入ったところです。この1年は、有料会員がキャズムを超えるかどうかの勝負の年になると思っています。

――無料会員と有料会員でサービスはどう変わるのですか?

山口:無料会員には、主要大学やセンター試験の過去問と解答、さらにセンター試験の問題集も提供しています。これらの情報も書店で受験本として売られているので、これを無料で提供するだけでも破壊的だと我々は思っています。また志望校を検索できたり、受験プランを立てるツールなども提供しています。

 そして有料会員は、プロ講師陣による1000時間を超える講義動画のコンテンツを自由に見ることができます。これが月々980円です。すべての科目がレベルごとに揃っていますので、受験に必要なあらゆる知識はすべてカバーしていると言っても過言ではありません。

 フリーミアム(無料会員)+プレミアム会員(有料会員)というモデルになっています。