将来は、「未来の学校」をつくりたい。

山口:もともとこの事業は、予備校に通いたくても行けない層に向けてサービスを開発しました。ここからは私の個人的な想いなのですが、ゆくゆくは海外の子供たちが無料ないし、月々10円で利用できるサービスを提供できればと思っています。

――そこまで考えておられるんですか。

山口 文洋
(やまぐち・ふみひろ)

リクルート・マーケティングパートナーズ執行役員兼ネットビジネス推進室 室長 兼 ブライダル事業本部メディアプロデュース統括部 部長。
ITベンチャー企業にてマーケティング、システム開発を経験。2006年、リクルート入社。進学事業本部で事業戦略・統括を担当したのち、メディアプロデュース統括部に異動。社内の新規事業コンテストでグランプリを獲得し、『受験サプリ』の立ち上げを手掛ける。12年に統括部長に着任。13年から現職。

 以前、インドネシアに旅行に行きましたが、日本と同じような予備校があるんです。ただおそらく、日本よりさらに予備校に通える子どもは限られていると思います。そういう世界の国で、いまのビジネスモデルを移管して限りなくタダに近い価格で提供できれば、我々が当初かかげた「すべてのまなびをすべての人々に届けたい」という思いはさらにインパクトを出せると思っています。ただ、残念ながらまだ私の将来的な希望の話であって、会社としてはまだ海外事業の予定はまったくありません。

――日本では今後どのように受験サプリを育てていきたいとお考えですか。

山口:まずこのサービスの有効性として、入口と出口、つまり受験サプリを使うことによって、確実に成績がよくなった、学力があがった、また合格したという学習効果を何らか測定して、使用後の「差」を示すことができればいいなと考えています。効果が可視化できれば、差別化できますし、より多くの人に使ってもらえると思っています。

 また、いまは受験勉強のためのツールですが、将来的には、受験科目だけではなく、高校生という年代で知るべき、あるいは学ぶべきコンテンツを揃えていきたいと考えています。つまり「未来の学校」になりたい。単なる受験勉強ツールではおわりたくないですね。未来の学校は詰め込み教育だけでなく、WhyやWhatを教える。つまりなぜ勉強する必要があるのか、何で進学するのか。いま日本や世界で何が問題で、何が求められているのか。そういうことを高校生のうちから学ぶ必要があると思うんです。そのために社会の第一線で活躍している人の話や経験などを伝えて、世界で活躍している人はどんな人か、そういうロールモデルを見せられるようにしたいと思っています。(了)