案1:「モノ」で儲けるビジネスモデル
1つめの案は、自社商品「ビジネス専用の文房具(以下:Biz文具)」の販売収益を拡大するために、「パートナー(KP)」企業とコラボレーションした補完商品を充実させていくというもの。たとえば、アプリ開発会社と連携して「Biz文具」を使ったアイデア発想支援アプリを作る。あるいは、充実した付録がウリの女性雑誌のように、「Biz文具付きビジネス書・ムック雑誌」を出版社と協業してシリーズ刊行するなどです【写真1】【写真2】。
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【写真1】案1のビジネスモデル・キャンバス |
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【写真2】案1のピクト図 |
「価値提案(VP)」は「文房具ではなく、思考ツール」。自社商品「Biz文具」だけで完結しないビジネスモデル、すなわち、パートナー企業のアプリや書籍・雑誌と連動した「ビジネス思考ツール(デジタル+アナログ)」全体のビジネスモデルをデザインしています。あえてアプリや書籍・雑誌を自社単独商品にせず、「他社コラボ商品」にしているのが特徴です。「Biz文具」の仕様をオープンにし、パートナー企業と共創するオープン・イノベーション型のビジネスモデル・パターンです。
案2:「コト」で儲けるビジネスモデル
2つめの案は、「価値提案(VP)」は「ビジネス思考ツールではなく、ビジネス思考スキル」。つまり、道具の提供だけではなく、道具の使い方まで提供するビジネスモデルです。ヤマハがピアノを普及させるために音楽教室を作ったのと同じ発想です。「パートナー(KP)」としてセミナー会社と協業し「Biz文具の使い方セミナー」とセットで販売します。アイデア発想セミナー、企画書の書き方セミナー、プレゼンセミナーなどで「Biz文具」を使用します【写真3】【写真4】。
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【写真3】案2のビジネスモデル・キャンバス |
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【写真4】案2のピクト図 |
仕事を効率化するための文房具の使い方ではなく、ビジネス・アイデアを創造するための使い方ノウハウはあまり公開されていません。
たとえば、経営コンサルタントの大前研一氏はオリジナルの特注大型方眼紙ノートを愛用しています。使い方が大変ユニークで、本人から直接聞いた話によれば、アイデア発想するときはノートの左下から右上に向かって斜め上の方向に書いていくそうです。通常ノートは上から下に使うもの。しかし、大前氏の使い方はその逆。この方法だと右脳が刺激されるのでアイデアが閃きやすいとのことです。
また、知人のクリエーターは、色やサイズにこだわります。「企画書を修正するときは赤入れしない。ネガティブな気分にならないように青入れ修正する」「ブレスト会議用の付箋の形と色はアイデアに影響するので特注している」「ペン先が0.9mmと0.5mmでは企画の内容が変わる」そうです。
このような使い方のノウハウがあってこそ、「Biz文具」は威力を発揮します。ノウハウと実績をもった人を講師に迎えた実践的なビジネススキル・セミナーはニーズが高いのではないでしょうか。