幸せはお金で買えるのか。換言すれば、本当の幸福を得られるお金の使い方とはどのようなものか。このテーマに科学的アプローチで迫り、『「幸せをお金で買う」5つの授業』を著した2人の研究者による記事をお届けする。


 お金に関するウォーレン・バフェットのアドバイスは、世界中の抜け目ない投資家によって吟味され実行されてきた。だがほとんどの人は、お金を儲けることについては専門家の助けが役に立つと思っているが、お金をどう使えば最大の幸福を手に入れられるかについては、すでに知ったつもりになっている。そのため、直観的に自分が幸せになれると“思う”ものにお金を使う。テレビや車から始まり、マイホーム、セカンドハウス、その他あらゆるものを――。

 このやり方には問題がある。筆者らが10年間にわたって実施した調査によれば、お金を幸福に換えることに関する人々の直観は、よくいって見当違い、悪くいえば完全に間違っているのだ。テレビや車や家は? まったくといっていいほど幸福をもたらしていない。

 だが救いはある。どのようにお金を使えば私たちの幸福度が高まるのか、いまは明らかになっているからだ。この洞察は、消費者にも企業にも同じように有益である。

 2010年6月、バフェットは「慈善の誓い」(My Philanthropic Pledge)と題した論説をCNNに寄せた。そこでは寄付に関する財務的なアドバイスではなく、私たちの精神的な幸福度を高める1つの方法として寄付を提案している。財産の99%を慈善基金に寄付するというみずからの決断について、バフェットは「これ以上幸せなことはない」と述べている。

 しかし、その温かな幸福感を味わうために、バフェットのように何十億ドルも寄付する必要があるわけではない。私たち一般庶民にとって幸いなことに、もっと控えめなかたちの寛大さでも満足感を味わうことはできる。筆者らは実験を通して、人が自分以外の誰かのためにお金を使うことにより(チャリティーへの寄付、友人や家族への贈り物など)、自分のために同じ金額を使うよりも確実に高い満足感を得ていることを発見した。