1937年、バーリとミーンズが、所有と経営の分離を主張した歴史的著作『近代株式会社と私有財産』を発表し、経営者資本主義の幕が開けた。しかし76年、ジェンセンとメックリングが、企業の究極の目的は「株主価値の最大化である」と訴え、株主資本主義がこれに取って代わった。一方、株主ではなく「顧客」を最優先する経営を貫いてきた企業がある。たとえばJ&JやP&Gなどは、ジャック・ウェルチがCEOだった頃のGEよりも利益成長率は高く、長期的かつ安定的に株主価値を創造していた。いま「顧客資本主義」と呼ぶべき新たな資本主義を目指すべき時であり、それは明らかに株主価値経営よりも優れたコンセプトである。