人間の仕事は、今後ますますロボットに奪われていく――その懸念は高まるばかりだ。しかしロボットと人間の共生も模索されている。たとえばロボットの活用によって、海外から自国に労働力を取り戻す潮流が見られるという。
「ロボットが人の仕事を奪う」という懸念がかつてなく高まっている。これは、エリク・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーの示唆に富む共著The Second Machine Age (第二のマシン時代)、そしてオックスフォード大学マーティン・スクールの研究"The Future of Employment: How susceptible are jobs to computerization?"(雇用の未来:コンピューター化が職に与える影響)の発表に対する反応だ。前者は、デジタル技術やロボット工学の急激な進歩によって、「トラックの運転手から弁護士まで、あらゆる専門職は永遠にロボットに負け続けるだろう。企業は変革するか終わりを迎えるか、いずれかを迫られる」と述べている。後者は、アメリカで今後7~10年以内に、雇用の47%がロボットやオートメーションに奪われると主張している(英文PDF)。
しかし暗い見通しはあるものの、ロボット工学や関連技術の進歩は、国内の製造業とサービス業に好影響を及ぼし、雇用の維持と創出をもたらしてもいる。先進国では、「ボットソーシング」の活性化によって雇用が海外から国内に戻る傾向さえ見られる。ロボット・オートメーションによって製造拠点を自国に回帰させる新たな趨勢は、インドの1180億ドル規模のIT産業にとっては唯一最大の破壊的脅威だろう。ビジネスプロセスの自動化がさらに進めば、労働力が安い国にアウトソーシングする意味もなくなるからだ。
アジアの他の国々にとっても、この脅威は深刻だ。電子機器受託製造の世界最大手で、iPhoneの製造で知られるフォックスコンが最近発表したところによれば、同社は4000万ドルを投じて米ペンシルベニア州に新しい工場を設立し、高度なロボットを活用するとともに、500人の雇用を創出するという。
また、世界最先端のロボット化された製造施設のおかげで、テスラモーターズは電気自動車の製造の全工程をアメリカ国内で行っている。