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オバマはリンカーンに何を学んだのか
2008年1月、CBSのアンカー、ケイティ・クーリックは、バラク・フセイン・オバマ・ジュニアへのインタビューのなかで、聖書以外で、ホワイトハウスに持っていく1冊は何かと尋ねた。
すると、オバマは──その後の大統領選で勝利し、第44代アメリカ合衆国大統領になった──第16代大統領エイブラハム・リンカーンの南北戦争におけるリーダーシップを取り上げた2005年のベストセラー、ドリス・カーンズ・グッドウィンのTeam of Rivals[注1]を挙げた。
大統領選に勝利して数カ月の間、オバマは自身のリーダーシップについて、同じイリノイ州選出であるリンカーンのスタイルを手本にしていることを明言している。
オバマは、有能なライバルたち、すなわち大統領に躊躇せず進言し、またリーダーシップに長けた人々を集めて組閣するというリンカーンの戦略を踏襲し、過去の大統領候補たち、そして将来大統領候補になるであろう大物政治家たちを起用した。
オバマがそのようにリンカーンから学んだとすれば、同じような課題を抱えるビジネス・リーダーたちも、乱気流の時代にあってどのように組織を率いるべきなのかを、リンカーンに学ぶことができる。
リンカーンの教訓とは何か。これを明らかにすべく、HBR誌のシニア・エディター(当時)のダイアン・クーツが、くだんの書籍のほか、フランクリン・ルーズベルトとエレノア夫人、そして2人が生きた時代について記したNo Ordinary Time[注2]やThe Fitzgeralds and the Kennedys[注3]、Lyndon Johnson and the American Dream[注4]などを著した、ピューリッツァー賞作家でもある、歴史学者グッドウィンにインタビューを行った。
インタビューは2時間に及び、その内容は多岐にわたった。
グッドウィンはそのなかで、わだかまり消え去らぬ反抗分子たちを呼び集め、歴史上最も破天荒な内閣をつくったリンカーンの資質について語る一方、経済危機に直面している現大統領に提言し、アメリカがいま以上の困難を乗り越えたように、きっと現在の危機も切り抜けられるであろうという確信を示した。