理由2:気分が乗らないから、先延ばしにしている

 解決策:そのような気分は邪魔なので、無視する

 英ガーディアン紙の記者オリバー・バークマンは、名著The Antidote: Happiness for People Who Can't Stand Positive Thinking (解毒剤:ポジティブ思考に耐えられない人が幸せになる方法)でこう指摘している。私たちは「どうしても早起きができない」「どうしてもエクササイズができない」などと言う場合、その本当の意味はたいてい「そうする“気分”にならない」ということだ。事実、朝あなたがベッドから起き出すのを押さえつける者はいない。恐ろしげな用心棒がジムの入口に立ちふさがっているわけでもない。物理的に邪魔するものは何もなく、単に気分が乗らないだけである。バークマンはこう問いかける。「何かを始めようという時、その気になるまで始めてはいけないという決まりはあるだろうか?」

 ちょっと考えてみてほしい。私たちはいつの間にか、無意識のうちに、こんな考えを抱いてしまっている――「モチベーションを高めて優れたパフォーマンスを上げるには、その行動をしたいという気分になる必要がある」。情熱的に取り組むべし、というわけだ。なぜ私たちがそう考えるようになったのか、まるで見当がつかない。それは100%間違いだからだ。たしかに、ある程度は決意を持って臨む必要はある。「プロジェクトの完成を見届けたい」「もっと健康になりたい」「1日を早くに始めたい」などの気持ちだ。しかし何も、「気分が乗る」必要はないのだ。

 むしろバークマンが指摘するように、数多くの作品群や実績を残しているアーティストや作家、イノベーターは、仕事をルーチン化している。どんなに気分が乗らなくても(たとえ二日酔いでも)、毎日何時間かを必ず作業に当てるよう自分に課しているのだ。バークマンは、著名なアーティストであるチャック・クローズの言葉を引用している。「インスピレーションが必要なのはアマチュアです。私たちプロは、ただ仕事場に行って仕事をするだけです」

 だから、気分が乗らないという理由で、座ったまま何かを先延ばしにしているなら、こう思ってほしい。気分など必要ない、あなたを止めるものは何もないのだ。