理由3:きつい、つまらない、不愉快などと感じるために、先延ばしにしている

 解決策:「条件付けによる計画」を使う

 この場合、私たちは往々にして問題を意志力だけで解決しようとする。「この次こそ、頑張ってもっと早めに始めよう」というように。言うまでもなく、もしその意志力を持っているのなら、そもそも先延ばしになどしていない。研究によれば、人間はしばしば自己コントロール力を過大評価し、災難を避けるために意志の力に頼りすぎる場合が多い。

 そこで、自分をもっと寛大に受け止め、意志力には限界があるという事実を受け入れよう。難しいことや退屈なこと、不愉快なことを実行に移すという難題に、意志の力で立ち向かえるとは限らないことを理解するのだ。その代わりに、「条件付けによる計画(if-then planning)」を使ってみよう。

 条件付けによる計画は、物事を完遂するために必要なステップを具体的に決めるだけではない。それぞれのステップを「いつ」「どこで」行うかも決めておくのだ。

「午後2時になったら、やっていることを中断して、ボブに頼まれたレポートに取りかかろう」

「以前に申し出た昇給について、上司が会議中に触れなかったら、会議終了前に再度話題に上げよう」

 やるべきことを厳密に、いつ、どこでするのかを前もって決めておけば、その時になってあれこれ迷う必要がなくなる。「本当にこれをいましなくてはならないのか」「もう少し待ってもいいんじゃないか」「別のことをやったほうがいいかも」などと逡巡しないで済む。私たちが迷うのは、難しい判断をするために意志力が必要になった時である。そして条件付けによる計画は、意志力にかかる負担を大幅に減らしてくれる。決断の時がやってくるずっと前に、適切な判断がすでになされているからだ。事実、この方法を使うと、目標達成の確率と生産性が平均で200~300%も向上することが、200件を超える研究で明らかになっているのだ。

 以上、3つの作戦――①何もしなかった場合の悲惨な結末を考える、②『スター・トレック』のミスター・スポックのように、気分や感情を無視する、③厳密に計画する――を紹介した。いずれも、「自分の情熱に従おう!」「いつもポジティブに!」といったアドバイスに比べると地味で、面白味に欠ける。しかし、どれも実際に有効であるという明白なメリットがある。そしてこれらの作戦を活かせば、あなた自身も有能な人物になれるに違いない。


HBR.org原文:How to Make Yourself Work When You Just Don’t Want To February 14, 2014

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