他の複数の調査によれば、従業員が自分の作業スペースで過ごす時間は労働時間のたった35%にすぎないという。コストに敏感な経営者が、たとえ従業員に支持されていても、個室をなくそうと考えるのも合点がいく。間仕切り・モジュール式のオープンプラン型(大部屋)にすれば、コストは下がり、コラボレーションも促進されるのでなお良いだろう、というわけだ。

 しかし、そう決めつけるのは早い。キムとデ・ディアが引用した過去の研究はこう示唆する。「雑音が気になって生産性が低下すると答えた人の割合は……個室よりもオープンプラン型のほうが2倍多い。また、複雑な言語活動を伴う仕事(最も重要な仕事といえる)をしている時は、単純でルーチン化された仕事をこなしている時よりも、雑音で気が散りやすい」

 またキムとデ・ディアの研究結果によれば、音による生産性低下のデメリットは、コラボレーション促進のメリットを上回る。なぜなら、「コミュニケーションの取りやすさ」自体がさほど問題とされていないからだ。オフィスの形態にかかわらず、コミュニケーションの取りやすさに不満があると答えた人の割合は10%以下だった。実際、個室で働く人は閉鎖的な空間にいるにもかかわらず、間仕切りやオープンスペースで働く人よりもこの要素を問題視していない(おそらく内密に話ができるスペースを探す手間がないからだろう)。

 キムとデ・ディアはさらに、回帰計算を用いてデータを別の角度から分析した。最も不満が多い項目を特定するだけでなく、それぞれの不満が従業員の総合的な満足度にどの程度影響しているかを算出したところ、最も重大な問題は作業スペースだとわかった。これは個室や間仕切りの有無にかかわらず、あらゆる職場に共通する。

 調査の結果をまとめると、個室を持つ人の満足度は圧倒的に高く、15項目すべてにおいて他のグループよりも不満が少なかった。かたや、最も不満を抱えていたのは高い間仕切りのある大部屋で働く人々で、15項目のうち13項目で最も満足度が低かった。

 ヴァージニア・ウルフは正しかった。私たちにとって本当に必要なのは、「自分だけの部屋」である。古びたマグカップ、崩れそうな本の山などをいくらでも置ける空間だ。


HBR.ORG原文:Research: Cubicles Are the Absolute Worst November 13, 2013

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サラ・グリーン(Sarah Green)
『ハーバード・ビジネス・レビュー』のシニア・アソシエート・エディター。