●スマートな仮想パーソナル・アシスタント
 SVPA(Smart Virtual Personal Assistants)の技術は、2013年に市場に現れた。その基盤となっていたのは、コンピュータによる意味処理と自然言語処理の技術、そして個人のカレンダーやeメール、住所録などのデータだ。加えて、ユーザーの数分間の行動を基に次の10秒の思考を予測する技術も使われていた。初期のパーソナル・アシスタントのアプリをつくった新興企業のほとんどは、その後買収された。Emu(イーミュー)はグーグルに、Donna(ドナ)はヤフーに、Cue(キュー)はアップルに、といった例がいくつも挙げられる。

 買収前のEmuのアプリは個人秘書の優れた代役を果たしてくれた。2者間のテキストメッセージのやり取りをモニターし、自動的に提案してくれる。たとえばユーザーが友人を映画に誘うと、Emuはすぐに両者の位置を特定し、近くの映画館を提示して上映中の作品と時間も表示する。そしてカレンダーをチェックして空いている時間を調べてくれる。さらには映画のプレビューまで見せてくれる。都合のよい時間が決まると、Emuはオンラインでのチケット購入を手伝い、データをカレンダーに記録する。これらすべてが、ただ1つのモバイルアプリの中で行われた。

 2015年、消費者は携帯電話に組み込まれたSVPA技術に接するようになる。たとえばグーグルは、アンドロイドのユーザー向けに新しいSVPA機能を秘かにリリースし始めている。Google Nowの「[駐車の場所]カード」は、ユーザーが車をパーキングに停めると、その場所を自動検知してグーグルマップに記録し、ドライバーがまた車に戻る時に留めた場所まで案内してくれる。具体的な指示がなくてもこれらを自動的にやってくれるのだ。マーケター、クレジットカード会社、銀行、地域の行政機関、政治キャンペーをはじめ、さまざまな組織や機会において、重要な情報の提供、および顧客や支援者に関する学習と理解にSVPAを活用できる。

●「○○界のUber」
 そのビジネスのやり方は激しい批判を招いたものの、2014年はUberにとって大躍進の年となった。運転手と乗客をつなぐシンプルなアプリを提供するこの会社は、12月に400億ドルという評価額を受けており、いまやハリバートン、エトナ、ゼネラル・ミルズ、デルタ航空、クラフトフーズ、チャールズ・シュワブを上回る。

 Uberの急成長の理由は、消費者に瞬く間に採用されたことにある。成功の要因は2つある。1つ目は、空き時間をお金に変えること。プロの運転手にとって、Uberは乗客を素早く簡単に見つける手段だ。そして失業中の人にとっても、他の職がなかなか見つからない時に収入を得る方法となっている。2つ目は、シームレスな支払いができるインターフェースの提供だ。決済のすべてがシンプルなモバイル・インターフェースを通して行われるため、乗客は現金はおろか、クレジットカードさえ必要ない。

 Uberの成功は、同社の最も優れた要素を模倣しようと目論む多くの起業家を生んでいる。2015年は、Uber型の配達事業や仲介事業がたくさん現れるだろう。たとえば食料品の迅速な配達、ヘリコプター手配、ポータブルATM、酒類の配達、マッサージ師派遣、洗濯サービス、iPhone修理、個人の買い物代行、医療用マリファナの手配、犬の散歩代行、車の修理工の現地派遣、等々が考えられる。一方、消費者はワンクリックで決済が処理される支払い方法に引き寄せられる。これは小売りや運送、銀行などを含む伝統的な企業にとって、顧客に新たな利便性を提供する機会となる。

●アルゴリズムの管理
 アルゴリズムとは簡潔にいえば、問題を解決するために従うべき一連のルールやプロセスである。しかし今後、アルゴリズムの使い方について倫理が問われるようになり、不具合を起こしやすい一部のアルゴリズムに対する監視が強まっていくだろう。プログラマーはアルゴリズムに主観的な判断を付加し、答えの生成を導いている。その結果、ビッグデータのアルゴリズムはモノやデータ、そして人間をもますます誤って分類するようになっている。

 アルゴリズムが空港でテロの容疑者を誤認した例は無数にある。株式市場は1度、高頻度取引のアルゴリズムによって壊滅の危機に直面した(英語記事)。アマゾンのマーケットプレイスで使われていた自動値付けアルゴリズムの暴走によって、多細胞生物の成長に関する中古本The Making of a Fly: The Genetics of Animal Designの価格が2669万8655ドル93セントに跳ね上がったこともある(英語記事)。企業のマネジャーは今後数カ月を費やして、アルゴリズムに説明責任のシステムを組み込む方法を話し合ったほうがよい。