ビッグデータ、アナリティクスと新しいIT用語が賑わすなか、「IoT」とまた新語が登場した。はたしてこの言葉はどんな変化をもたらす可能性があるのか。IoTが出てきた背景と言葉の本質的な意味を理解する必要がある。

 

また新しいバズワードをまき散らすのか?

 ウェブ2.0以降、毎年のように新しいコトバがビジネス界を賑わせます。メディアの一員である私もその片棒を担いでいるのかもしれませんが、新しいコトバに踊らされず、そのコトバが登場した背景から本質的な変化を洞察することが重要となります。

 2013年のビッグデータ、2014年のアナリティクスに続き、今年は、IoT(Internet of Things、モノのインターネット化)という言葉が注目されそうです。もっと正直に言うと、ハーバード・ビジネス・レビューの最新号で特集を組みました。

 ICチップの小型化と生産コストの低下が進み、実用範囲が拡大しました。そしてセンサー技術の発展で膨大なデータを収集できるようになりました。集まったデータはクラウドに送信されます。クラウドに保存されたデータはアナリティクスの技術で解明され、データから読み取れる情報を我々に与えてくれるようになります。このような仕組みが完成すると、すべてのモノがネットで繋がり、モノとモノとが直接コミュニケーションをするようになります。これがIoTです。

 弊誌の特集で慶應義塾大学の村井純教授は、「世界中のコンピュータがつながり、人間同士のコミュニケーションが自由にできるようになった。IoTはその先にある世界」、と従来からのインターネット革命から次元が変わったことを主張されています。人と人がつながる世界から、モノとモノがつながる世界へ。この新しい「つながる社会」ではどのようなことが可能になるのでしょうか。