いまなぜ「問いかけ」が求められるのか

 近年、これまで以上に業務内容が複雑になり、部門を超えた連携が求められる場合が多い。また、多国籍のチームを率いなければならないリーダー層も増えてきているだろう。その際に必要になってくるのが、相互の信頼関係であり、オープンなコミュニケーションである。

 往々にして組織のリーダー層は、部下の意見を聞きたいと思っており、上がってくる意見を真摯に受け止めたいという姿勢は持っている。けれども、部下の側に話を聞くと、悪い知らせを伝えることを躊躇したり、上司の反感を買うことを恐れたりしているという。

 上司が適切な「問いかけ」を行うことで、尋ねられた相手も信頼されていると感じることができ、相互の信頼関係が増し、良好なコミュニケーションへと繋がる。地位に関係なく、リスクや事故を未然に指摘したり、意見を交換できたりする組織に変化すれば、より適切に物事の解決や協働が進むであろう。

 ビジネスにおいて、質問することは、自分では分からない点があることを認める行為であり、一時的にであれ、自分の立場を弱くする行為とも捉えられる。歳を重ね、地位が高くなればなるほど、人に物を尋ねることは難しくもなる。

 最初は躊躇われるかもしれないが、リーダーシップを担う立場にいる人たちは、ぜひ組織を変える一歩として、「謙虚に問いかけること」を実践して頂きたい。