2.より早めに、そしてより頻繁に仕事を任せる
ここでの「任せる」は、他者に仕事を「割り当てる」ことも含むがそれだけではない。割り当てるとは、自分の責任下にある仕事を他者に委託することだ。任せるとは、自分の仕事になる“前”に適切な相手にその仕事を回すことも含む。そのためには、他者の管轄すべき雑務が自分に投げられた時、たとえ助けることができても、他の適任者に委ねる必要がある。
たとえばITに関連する質問を受けた時、社内のIT部門がフルタイムでサポートを提供しているならば、そのヘルプデスクに尋ねるよう丁重にお願いする。自分がすでに携わっていないプロジェクトについて質問されたら、現在の担当者に訊いてもらう。会議に誘われたら、たとえ自分の知見が役に立ちそうな場合でも、他の参加者が似たような知見を提供できそうであれば辞退を考えよう。
必ずやるべき仕事をこなせていないのなら、それ以外のことは引き受けるべきではない。これまで何でも引き受けて首尾良くこなす自分を誇りとしてきた人にとって、任せるのは気が進まないだろう。自分がいいチームプレーヤーではないと感じるかもしれない。しかし仕事を人に任せることは、相手の能力に敬意を示すことであり、自分にしかできない仕事を完遂する余裕も生まれる。それが結局、チームにとって本当に必要なことなのだ。
3.フォローアップのためのシンプルな仕組みをつくり活用する
自分が結果責任を持っている仕事を他者に割り当てたり任せたりする場合、その完遂に不安を持たず推移を見守るには、フォローアップの仕組みが極めて重要になる。そのために、次の2つを設けよう。①任せたタスクの一覧や進捗を把握できる、所定の場所。②それを定期的にチェックする習慣。
「所定の場所」は、たとえばワードやエクセルのファイルをグーグルドライブで共有する、あるいはアウトルックで各チームメンバーのタスクの一覧をつくるといった、単純なものでもよい。より洗練された場が欲しければ、アサナ(Asana)のようなタスク管理システムを使えばよい。
タスクをチェックするタイミングは、週に1度すべてのプロジェクトの状況を確認し計画を立てる時や、担当者との定期ミーティングの席、あるいは提出期限前の適切なタイミングでもよい。この仕組みを信頼できるものにするには、任せたすべての仕事が所定の場所に記録されること、そしてチェックするタイミングをきちんとカレンダーに組み込むことが必要だ。
4.コントロールを取り戻したいという誘惑に抵抗する
コントロールを手放し始めると、自分の希望とは違う方法で仕事が進められるケースがどうしても出てくる。そんな時、「なぜこの仕事を人に任せてしまったのか」と自分を責めたくなるものだ。そういう気分は通常、他者に対する怒りやいら立ちという形で表れる。しかし、その仕事をただちに取り戻すのではなく、その状況を学びの機会に変えてしまおう。
まず、今後は別のやり方ができないかどうか検証する。次に、次回うまくやるためには何を学ぶ必要があるのかを、その担当者に示す。間違いの原因は、深く掘り下げてみなければわからないものだ。そして最後に、最も価値が高い仕事に自分が集中すべきであることを、改めて認識する。手放すことを恐れていると、会社に最大の貢献をする機会を失うことになるのだから。
HBR.ORG原文:How Office Control Freaks Can Learn to Let Go October 23, 2013
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エリザベス・グレース・サンダーズ(Elizabeth Grace Saunders)
時間管理のコーチングとトレーニングを提供するリアルライフEの創設者。著書にThe 3 Secrets to Effective Time Investment: How to Achieve More Success With Less Stressがある。