MITの研究グループが、優れた問題解決能力を示すチームの特徴を明らかにした。メンバーの知能指数よりも重要なのは、社会的感受性、平等な参加、女性の割合であったという。

 

 スポーツの世界では、「他の選手を光らせる」存在として名を馳せる者がいる。偉大なバスケットボール選手であったマジック・ジョンソンは、NBAのチャンピオンシップで所属チームを5回の優勝に導いた。彼が優れていたのは、単にシュートやパス、リバウンドの技術だけではない。チームメイトたちを、平凡な選手も含め、スターに変身させたのだ。一方、マイケル・ジョーダンはプロデビュー当初から抜群の才能を知られ、史上最高の選手とさえ謳われたが、キャリアの初期に所属チーム(シカゴ・ブルズ)の戦績はまったくふるわなかった。ジョーダンが優勝を経験することはないかもしれないと、人々は考えた。なぜなら彼は「チームプレーヤーではなかった」からだ。

 ビジネスの世界でも、若い頃のマイケル・ジョーダンと同じように見られる人たちがいる。その技能は素晴らしいがチームにあまり貢献しない、個人プレーのスーパースターである。一方でマジック・ジョンソンのように、チームメイトの能力を引き出す存在として誰もが認める人もいる。では、集団のパフォーマンスを向上させるのはどんなタイプの人なのか、特定は可能だろうか。印象や直観、逸話から導き出されるものではなく、実際のエビデンスに基づく特徴はあるのだろうか。この点について、興味深い答えが見出されつつある。そこには「C因子」と呼ばれるものが関わっているようだ。

 社会科学の領域では、人間が多数の認知課題を処理する能力は、「一般知能(general intelligence)」または「G因子」と呼ばれる統計因子に反映される。そして集団にとって望ましいのは、この一般知能を備えた人であるという明白な結論が出ている。認知能力の尺度について、多種多様な小集団に関する研究を通じて一致している見解は、「集団のIQの平均値が高いと、全体のパフォーマンスも高い」というものだ。

 だが、IQよりももっと重要であるとおぼしき因子が、マサチューセッツ工科大学(MIT)コレクティブ・インテリジェンス・センターの研究グループによって特定されている(英語論文)。さまざまな知的・社会的問題に対するチーム単位の解決能力を、何らかの方法で測定できないか――そう考えた研究者らは、2つの大規模な実験を実施。2~5人のグループ多数を対象に、頭の体操を促すパズル、IQテスト、道徳的ジレンマの解決、チェッカー(ボードゲーム)などをさせた。

 この研究の成果として、3つの異なる要因を組み合わせれば、集団的知力(Collective IQ)を測定する1つの有効な指標になるということがわかった。この指標はC因子と名付けられた。