1つ目の要因は、社会的感受性(他者の心情を察する能力)である。このスコアの平均値が高いチームは、全体のパフォーマンスも高かった。テストでは、被験者は人物の目だけが写った写真を何枚も見せられ、その人物の感情(はしゃいでいる、苛立っている、退屈している、等)を判断するよう求められる。これは「まなざしから心を読むテスト」と呼ばれ、一般的に利用されているテストだ。

 2つ目の要因は、チームメンバー間の参加の不均衡、つまり議論がごく少数の人によって支配される傾向であった(マイナス要因)。議論を支配するメンバーの人数が少ないほど、チームのパフォーマンスは低かった。

 3つ目の要因は、チーム内の女性の人数である。チームに女性が占める割合とパフォーマンスとの間には、直接的な正の相関関係があった。これはダイバーシティ(多様性)の問題というよりも、単に女性の人数が多いほど、パフォーマンスは高かった。この傾向は別の研究でも示されている(英語記事)。

 この研究で最も注目すべき結論は、3つの要因を組み合わせたC因子が、一般知能という従来の尺度よりもチームのパフォーマンスを正確に反映したということだ。IQの平均値と最高値はどちらも、C因子ほどにはチームのパフォーマンスとの相関を示さなかった。

 とはいえ、ここから大げさな結論を導かないよう注意すべきではある。社会的感受性や対人判断力を測る(「まなざしから心を読むテスト」に類する)さまざまなテストでは、女性は男性よりも一貫して高い成績を上げる。したがって上述の結果は、ジェンダーよりも社会的感受性の問題かもしれない。そして現段階では、問題解決タスクの結果とC因子との高い相関関係の根底に何があるのかを、明確に特定するのは難しい。いずれにせよ最も重要なことは、チームの1人ひとりがいかに他者と協力し連携できるかであると思われる。

 よいチームをつくるためには、その人選や規範の考案において、「他者とうまく関わる能力」を重視すべきであることは明白だ。そこには、みずから十分に関与しつつ他者にも耳を傾ける能力なども含まれる。チームワークを強く好む性質と社交能力の組み合わせは、他者の感情を察する能力と同じように、チームへの貢献者を選ぶよい判断材料となる。

HBR.ORG原文:Great Teams Need Social Intelligence, Equal Participation, and More Women December 16, 2014

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キャス・サンスティーン(Cass R. Sunstein)
ハーバード大学ロースクールのロバート・ウォームズリー記念講座ユニバーシティ・プロフェッサー。共著にWiser: Getting Beyond Groupthink to Make Groups Smarter、『実践 行動経済学』などがある。

リード・ヘイスティー(Reid Hastie)
シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスのラルフ・アンド・ドロシー・ケラー記念講座特別教授。行動科学が専門。共著にWiser: Getting Beyond Groupthink to Make Groups Smarterがある。