普段からポジティブなフィードバックを頻繁に提供していれば、ネガティブなフィードバックも(正当なものであれば)信憑性が高まり、脅威を感じさせることもなくなる。問題が発生した時だけフィードバックを与えていると、人を評価しない狭い心の持ち主だと思われてしまう。
特に、動機に疑念を持たれれば狭量だと思われてしまいやすい。フィードバックの前に、それを伝えたい理由を正直に考えてみよう。チームや組織のためではなく、自分の個人的な要望や嗜好に基づいてはいないだろうか。
たとえば、サラという従業員が複数のプロジェクトを同時に抱えていて、毎晩遅くまで働き、締め切り間際に猛然と仕事を仕上げることが多いとしよう。毎回無事に完遂し、その完成度も高いのだが、タイトなスケジュールを続けていては同僚であるあなたにとってもストレスとなる。したがってあなたは、サラに時間の使い方についてアドバイスしたいと考える。
しかし、時間管理のまずさを指摘する前に、その現状がサラの仕事の質を下げているかどうか自問してみよう。彼女はいつも他者とうまく協働し、仕事の精度も高い。もしかしたら彼女は、わざと締め切り間際まで待ち、プレッシャーによってエネルギーを集中させて成果を高めているのかもしれない。遅くまで働くのは日中に時間が足りないからではなく、同僚たちが退出してから1人静かに思索する時間を持つためかもしれない。
もしそうなら、あなたは自分の仕事のスタイルや嗜好に基づいてサラに改善を提案したいのかもしれず、それでは正当なフィードバックにならない。そのことにサラが気づけば、今後あなたのフィードバックに対して――それが彼女にとって必要なものであっても――耳を傾ける気がなくなるかもしれない。
(原注:本記事はハーバード・ビジネス・レビュー・プレス刊行の20-Minute Manager: Giving Effective Feedbackより抜粋。)
HBR.ORG原文:Understanding When to Give Feedback December 4, 2014
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