多くのビジネス課題の中でも「モチベーション」は人気のテーマの一つである。それだけ、モチベーションは仕事の成果に直結すると皆が考えているからであろう。しかし、なぜそもそも「モチベーション」を上げる努力を我々はするのか。
なぜ管理者は部下の「モチベーション」を上げたいのか
多くのマネジャーにとって部下のモチベーション管理は、大きな課題です。仕事の成果を「能力×やる気」とするならば、モチベーションを上げることで、仕事の成果は何倍にも増えます。能力の向上は一定の時間が必要ですが、モチベーションならその気になれば、一晩で変わる。ここに多くの可能性を感じるからこそ、注目もされているのでしょう。私自身もモチベーションは企業経営において、非常に重要な永遠の課題だと思っておりました。景気や企業業績がよくても、多かれ少なかれ問題として浮上します。
ところが先日の弊誌のインタビューで目から鱗の言葉を聞きました。
その主は、先ごろLINEの社長を退任された森川亮さん、弊誌ハーバード・ビジネス・レビューの今年の2月号に掲載されています。その言葉とは、「企業はプロフェッショナルを採用しているのだから、会社にモチベーションを上げてもらわなければいけないような人材はプロとして失格」というものです。
モチベーションがマネジメント課題の中で関心が高いのは、それだけ、多くの人がモチベーションを上げるのに労力を割いているということです。それが自分自身の問題としてなら、まだ傷は浅いです。経営者や管理職、あるいは先輩社員が、部下や後輩社員のモチベーションを「いかに上げるか」という課題に多くの労力と時間を割いている現実がありそうです。
この問題は根深いです。企業に働く人が、プロフェッショナルで自らモチベーションをもって仕事をしているなら、管理職は、いわゆる「モチベーション」マネジメントに時間を割かなくていいことになります。その時間で、戦略を策定したり、計画を立案したり、実践の進捗管理をしたりすることに集中できます。本来のプロ集団としてのリーダーがやるべき仕事に専念することができます。ただ現実はなかなかこのような人は少ないようです。