定石3:戦略分野、リスク分野にメリハリをつけて介入する
現在の多角化・巨大化・複雑化した企業においては、マーケティングがいかに重要とはいえ、全ての領域において、経営トップが直接関与することは、必要もないし、また現実的でもなかろう。そうした時に、前回ご紹介したような「マーケティング・アクティビスト」の考え方、すなわち緊要性があり、またトップが関与することで問題解決が促進される領域に、経営トップとして選択的に介入するということも求められよう。
ではどこに介入するか、と言えば、これも企業によって事情は異なるため、汎用解はない。ただ、しいて介入のニーズとそのインパクトが大きそうな領域を挙げると、表2のようになるのではなかろうか。

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表2:経営トップが介入すべき領域例
表2:経営トップが介入すべき領域例
全社のマーケティング・シナジーを迫る:
部門単独ではおそらく部分最適に陥るので、部門横断的ないわゆる「横串」の施策を打つことで、企業としての総合力を生かす。
新興国市場での成長のプラットフォーム作り:
部門単独では過少投資に陥る傾向がある中長期の新興市場開拓を、本社経営トップがリスクをとって推進すると共に、現地拠点網や人材プール、ブランドなどを共通の経営基盤として構築する。
最新のトレンドに対するR&Dと立ち上げ:
まだ海のものとも山のものとも不分明な様々な市場トレンドに対して、部門だけではリスクが高過ぎて手を打てないため、やはり本社経営トップがリスクをとって、唾付けの開発投資を行う。