本誌2015年2月号掲載の「世界のCEOベスト100」では、CEOの価値を財務成績のみに基づいてランク付けした。しかしここに「企業の評判をどれだけ高めたか」という要素を加えると、順位はまるで違ったものになる。業績+評判に基づく、より包括的なベスト100をお届けする。
CEOの成果はどのように測定すればよいだろうか。先日この問題に取り組んだHBRのチームは、「在任期間全体を通しての総株主投資利回り(TSR)と時価総額の増加」に基づいてCEOをランク付けした。同誌の発表による、最も優れた財務成績を上げた「【2014年版】世界のCEOベスト100」で堂々1位の座に輝いたのは、アマゾンのジェフ・ベゾスだ。
ベゾス氏がみずから設立した会社に多大な貢献をしたことは、疑うべくもない。そして、CEOを財務成績で評価するのは真っ当である。しかし同時にCEOと企業はますます、従業員、地域社会、政府、そして社会全体に与える影響についても責任を問われるようになっている。この期待の変化によって、非財務的な指標の重要性、そしてCEOのパフォーマンスをより包括的に示す必要性が高まっている。
いまや企業は、投資家に対してだけでなく、従業員や顧客、そして社会全体に対してどのような価値を創造しているかを把握しなければならない。そして、価値創造の結果が自社の評判にどう反映されているかを知る必要がある。このため、我々レピュテーション・インスティテュートは定期的に、世界中の消費者を対象に企業についての認識調査を行い、そのスコアを基に格付けを行っている。また2000年以降は個々の企業に対し、非財務的指標に基づいた評判とその理由について理解を深めてもらうためのコンサルティングも提供している。
一貫性と信頼性のあるデータを得るために、我々は科学的手法で開発・標準化されたアンケート調査ツールを利用している。これは企業の7つの側面について、人々(本拠地の国の回答者)の認識を測るものだ。すなわち①財務業績、②リーダーシップ、③職場環境、④シチズンシップ(環境への配慮や社会貢献)、⑤ガバナンス、⑥製品、⑦イノベーションであり、我々はこれを「レプトラック・スコアカード」と呼んでいる。
我々はHBRから、CEO上位100人について非財務的な観点を加味して再度ランク付けしてほしいとの依頼を受けた。そこで、レオナルド・ポンジ、ブラッド・ヘクト、ビクトリア・サドロブスカ率いる調査チームは、最初にレプトラックの手法を用いて「非財務的業績評価指標」を特別に作成した。この指標はレプトラックのカテゴリーのうち、職場環境、シチズンシップ、ガバナンスのスコアを基準としている。このスコアに基づいて、HBRのランキングを並べ替えた。(ご留意いただきたい点として、我々のデータが反映しているのは「企業」に対する認識であって、「CEO個人」に対する認識ではない。その前提はこうだ。価値創造に長けたこれらのリーダーたちは、かなり長い期間CEOに就いている。したがって企業に対する評判は、財務成績に劣らず各CEOのリーダーシップを反映しているはずである。)