こうして我々は、CEOの包括的な成果を評価するために、先の散布図の財務的および非財務的なランク付けを加重し、総合ランキングを作成した。下表をご覧いただきたい。数字の2列目は、HBRが発表した財務成果に基づく当初のランク付けである。3列目は非財務的成果、つまり社会的成果に関する評判のみに基づいて並べ替えた結果だ。1列目は、2つの評価基準を加重し組み合わせたCEOのランキングである。(そして順位が大きく変わったCEO/企業を示すために、4列目も加えた。)

 さて、誰がトップに躍り出ただろうか。総合ランキングの1位はノボノルディスクのCEOラース・ソレンセンで、2位はアメリカン・タワーのCEOジェームズ・タイクレットであった。フォルクスワーゲンのマルティン・ビンターコーンは、優れた非財務的成果のおかげで順位を68も上げ、21位となった。他に大きく上がったのは、ディズニーのロバート・アイガー(60位から10位)や、ファスナル、アルファ・ラバル、アントファガスタのCEOなどだ。スターバックスのハワード・シュルツは、ガバナンス、シチズンシップ、職場環境、そして財務成果へのバランス良い貢献を反映して、54位から14位へと上がった。アマゾンのジェフ・ベゾスは第1位からわずかに下がったが、3位という好位置にいる。

 自社の非財務的成果に対する評判の低さによって、順位を著しく落としたCEOもいる。ファーストリテイリングや、台湾のメディアテックなどだ。ヒュー・グラントに至っては、モンサントに対する低評価の影響を最も被り、8位から82位へと転落した。グラントは自社の評判を高める必要があると意を決したのだろう。ここ数年「持続可能な開発のための世界経済人会議」(WBCSD)に参加し、同会議が開発したビジネス・エコシステムズ・トレーニングを全世界の従業員に実施するようになっている。

 HBRの挙げた上位100人について、財務成果と非財務的成果への評判との間に相関関係は見られなかった。この事実が改めて示すのは、業績以外の指標を精緻化し続けていくことの重要性だ。そして、企業の成果を見極めるには両方の指標が重要であるとしたら、CEOの在任期間中の実績評価に対してはもっと大きな意味を持つだろう。CEOの貢献度を示す最も包括的な指標は、次の問いに対して信頼性の高い答えを示すものだ――「その会社に対する総合的な評判は、CEOの就任当時と比較してどの程度向上したか、あるいは低下したか?」。偉大なCEOの功績は、けっして会計勘定のように一義的ではない。


HBR.ORG原文:How Do You Rank the World’s Best CEOs? February 6, 2015

■こちらの記事もおすすめします
企業の「ちょっとした親切」になぜ注目が集まるのか
SNS時代のレピュテーション戦略

 

チャールズ・フォンブラン(Charles Fombrun)
レピュテーション・インスティテュートの創設者兼会長。同社は企業の評判に関する民間調査機関であり、評判のマネジメントについて世界中の企業にコンサルティングを行っている。