相談しちゃダメ? 描く上でのルールと自由
Kuniさんから、本日の絵の描き方の説明があります。12色の色紙から1色を選び、パステルと指だけを使って描いていく。選ぶ紙は1枚だけ。それに1時間程度じっくり向き合うことで、ゼロからイチを生み出す感覚がつかめてきます。
テーマは「働くうえで大切にしていること」。まずはワークシートに文章で記入し、それを絵にしていきます。
と、ここで手塚さんから質問が。
「1人で描くんですか? 相談したい……」
これにはKuniさんも不意をつかれたようです。「この質問は初めてです。そうだなあ、自分のことは自分しかわからないのだから、1人で集中して描いてみてください(笑)」
このワークショップは、子ども向けにも実施しており、子どものなかには「ねえ、どうしよう?」と隣の子に相談する子もいるのだとか。さらに手塚さんは「サイン用の色鉛筆で描いちゃダメですか?」「何枚か使って描きたいんですけど」「コンセプトをかっちり決めてから描いたほうがいいのか、描きながら考えたほうがいいのかどっちですか?」など、これまでにない質問が。
Kuniさんは「一応、画材はパステルだけ、そして紙は1枚だけ。それ以外は、正解はないので自由に描き始めてください」と伝えて見守ることにしました。
手塚さんは「これはもう見切り発車しかない……自分との闘いだ」とつぶやき、頬杖をついて考えこみ始めました。
その間に、中村さんと斎藤さんはワークシートを書き終え、さっと紙を選びに行きました。斎藤さんは迷わずグレーの紙を、中村さんは数秒考えてミントグリーンの紙を選びました。
2人は席に着くやいなや、さっと絵を描き始めました。もう、頭のなかには明確なイメージがわいているのでしょうか。
一方、左京さんはしばらくワークシートに向き合い、どうやら文章だけでなく図を描いているようです。そしてゆっくり立ち上がり、紙を選びに行きました。色とりどりの紙の前でもじっくり考えて、最終的に黄色の紙を手に取りました。
ここでようやく手塚さんも紙選びに。グレーの紙を選んで、すぐに描き始めました。と思ったら、すぐ消して、また描く、を繰り返しています。先ほどまで「相談しながらやりたい」と言っていた手塚さんですが、描き始めると黙って集中しています。
中村さんは描く手がほとんど止まりません。ぐっと絵の世界に入り込んでいます。斎藤さんは自分のペースで進めていきます。立てて眺めたりしながら、全体を把握しているようです。
左京さんは、ワークシートに描いた図を見ながら、紙に描き、そしてまた考える、という繰り返し。丁寧に、少しずつ制作を進めていきます。それぞれの描き方にも、個性が現れています。