タイトルを聞いて「ああー!」と納得の声が

 約1時間後、4人の絵ができあがりました。

 できた絵は、額に入れて鑑賞します。中村さんは額に入った自分の絵を見て、思わず「かっこいい!」と声を上げ、「額の力はすごいですね」と笑いました。

 それぞれの絵について感想を書き、ポストイットを貼っていきます。斎藤さんの絵には、左京さんから“努力” “アイデア”というコメントが。「なんか、血と汗という感じがしました」

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斎藤立さん

 一方、手塚さんからは対称的なコメントが。「いろいろなお花があるように見えたので、“多様性”。そして、いい香りがしそうだから“心地よさ”、と書きました」

 斎藤さんの働くうえで大切にしていることは「壊しながらまた生んでいく」。自分が桜の木になって花びらを飛ばすようなイメージで描いたそうです。

「失敗しても来年また飛べると言い聞かせている感じです。でも1回ずつは真剣勝負だから、血の滲むような覚悟がいるとも言える。そんな気持ちがこもって、絵全体がちょっと暗くなってしまったかなと思ったのですが、心地いいと言ってもらえてよかったです。タイトルは『思い切り飛べばいいから』です」(斎藤)

 次は、中村さんの絵です。

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中村真広さん

 斎藤さんは「“自然体でつくる”という感じ。自分の絵と対称的だなと思いました」。Kuniさんからは「丸がタンポポの綿毛みたいに見えて、フワーッと飛んで行く感じ。飛んで行く道程を楽しんでいるのかなと思います」という感想がありました。

 中村さんが絵に込めた意図を説明します。

「働くうえで大切にしてることは、自分たちの信じているものをつくる、ということ。だから、自然体という感想は当たっていると思いました。僕は今まさにベンチャーをやってるので、仲間たちと一緒に共鳴しあいながら働きたいと思っています。そこから浮かんだイメージが、目を閉じた目蓋の裏に見える、ぼやっとした光だったんです。というわけで、タイトルは『共鳴する光』」

 聞いていたメンバーからは「ああー!」という納得の声が。言葉にする前から、中村さんの意図が伝わっていたようです。

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手塚マキさん

 次は手塚さん。斎藤さんからは“海賊の物語”という感想が。

「さっきの鑑賞ワークでマキさんが言ったからかもしれないんですけど、マキさん自身が海賊にしか見えなくて(笑)。裸一貫で身を立てて、どんどん船が大きくなっていくんだけど、最後は壊れて船の舵だけ残った。でも、またそこから這い上がっていく。そんな物語が浮かびました」

 左京さんは「“流れ” “本当の目”。本質を見抜く眼差しだと感じました。ごまかせなくて、少し怖い感じもします」とのこと。さて、作者の意図は?

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左京泰明さん

「描こうと思ったのは、目と鼻と耳なんです。見る、聞く、嗅ぐということを表現したかった。最初、目を青で描いたら冷静な感じになって、赤で描いたら熱い感じになったんです。それで、描いたり消したりして試していました。タイトルは、『ぐちゃぐちゃ』。いろんなものを見たり聞いたり嗅いだりすると、自分のなかはぐちゃぐちゃになってしまうんですけど、それはむしろ良いことだと思っていて。それが生きている意味、仕事をしている意味かなと思ったんです」

 さあ、最後は左京さんの絵です。皆の感想は“つながる・つなげる” “情報交換” “コミュニケーション”“奏でることで高める” “宗教” “ヒンズー” “シンボル” “浮き出す”。どんな絵か、イメージはわきますか?

 左京さんの描いた絵、それに込めた思いは、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー6月号に掲載されています。ぜひご覧ください。