部下の仕事を放置し無関心な「ハンズオフ」型の上司に、どう対処すべきか。6つのケースに大別し、若手から中堅にも実践できるアプローチを紹介する。
ハンズオフ(不干渉)型のマネジャーには長短両面がある。部下に大きなイニシアチブと権限を与える一方、関与があまりに弱いため介入が必要な時に何もできず、部下はハシゴを外されたような気持ちになることも多い。
かたやハンズオン(積極関与)型のマネジャーにも、やはり問題はある。事態の収拾がつかなくなる前に介入でき、知識・情報を細かく把握しているため有益な助言をくれる。だが往々にして、権限移譲が足りない。部下のイニシアチブを制限したり、フォローアップの要求が多すぎて部下のエネルギーを奪ったりする。
あなたにとって上司が不干渉にすぎると感じられる場合、どう対処すればよいだろうか。まずは以下に、ハンズオン型とハンズオフ型の意味を明らかにしておこう。
●ハンズオン型マネジャー
・仕事の状況を深く理解しており、細部についても十分な知識を持っている。
・常に報告を求める。みずからアイデアや助言を与え、時には指示も出す。
・決定済みの事項について、期待される成果が確実に上がるようフォローアップに努める。
●ハンズオフ型マネジャー
・細部についてはほとんど掌握していない。
・部下に行動計画の報告や最新情報を強く要求しない。
・決定事項のフォローアップにさほど時間をかけない。部下に決定した計画の実施を一任し、サポートが必要な際にその旨を知らせるよう求める。
これらを念頭に置いたうえで、あなたにとってハンズオフ型上司の最も厄介な点は何かを考えてみよう。連絡を密に取れないことだろうか。話し合いが十分でないことか。フォローアップをしてもらえないことか、あるいは情報への無関心だろうか。
次に、こう自問してみよう――「そのような上司の態度を認識しているのは、自分だけだろうか。それとも、上司は他の従業員にも同様に振る舞っているのだろうか」。つまり、この状況を懸念しているのは自分1人なのかを判断する。
この時、できるだけ客観的になるよう努める必要がある。人間は確証バイアス、つまり人や状況に対する自分の思い込みを補強するように、現実を都合よく観察、解釈、記憶するという傾向を持つ。上司の「関与不足」に大きく悩まされているという人は、もしかしたら上司が積極的に関与している場面を見逃しているだけかもしれない。反証となる情報を探してみよう。自分の見解を裏づける同僚ではなく、意見を異にする人と話をしてみるとよい。事実を検証すれば、表面上はわからなかった上司の長所が見えてくるかもしれない。