営業担当者のやる気は企業業績に直結する。ハーバード・ビジネス・レビューの最新号では、「営業のモチベーション」を特集した。そして彼らのモチベーションは、金銭的報酬だけではないことを忘れてはならない。
「仕事の報酬は仕事である」という真理
仕事の成果を図るうえで課題となるのが、成果の因果関係、成果の数値化、それと期間の設定の3つです。
人材採用の仕事は、採用した人材が出した業績と採用にかかるコストの差が「成果」となります。しかし、採用した人材が出した業績は、果たして人事採用者の成果と言えるのか、その人材の上司のマネジメント力だったのか。また、その人の仕事が開発などの仕事であれば、成果の数値化が困難になります。さらに言えば、製薬企業の開発のように長い期間を要する仕事などでは、短期で成果を測定すると「ゼロ」になってしまうこともあります。このように組織で人事評価をする際には、これら3つの困難さが付きまといます。
そんな中で、最も成果を評価しやすいのが、営業職です。誰が担当かが明確で、かつ受注金額がそのまま成果と言えます。そして、期間毎に成果を測定することで大きな歪みが出ません。
そのため、営業の世界では、コミッション制という、いわゆる出来高に応じて報酬が決まる仕組みが取られているケースが多いです。この仕組みは報酬と成果の整合性を担保できるうえに、セールスパーソンのモチベーション向上につながりやすいというメリットがあります。
ただし、誰しもモチベーションの源泉は金銭的報酬のみではないでしょう。喜んでくれる人の存在、仲間から認められる承認欲求、さらに自分自身の達成感や成長実感もあります。「仕事の報酬は仕事である」という言葉は、決してきれいごとではないでしょう。