パートナー活用のポイント
グーグルにおいては、マーケティングマネージャーとエキスパートが協働してプロジェクトを推進する。一方で、スピードが求められるデジタル時代において、全ての専門性を自社でまかなうことは不可能である。そのため、社外のパートナーシップが重要になる。
グーグルのマーケティングでは、発注先を「ベンダー(下請け)」ではなく、グーグルと課題を共有し、解決策を一緒に考えてくれる「パートナー」と位置づけることを徹底している。これにより、社内の限りある人的リソースに縛られることなくチームを強化することが可能となる。また、パートナーが持ち込む視点と個性が組織に活気をもたらし、新しいアイデアが生まれることも期待している。
「パートナー」を仕組化するために重要なのが、四半期ごとに実施している“Quarterly Business Review(QBR)” である。QBRでは、パートナーとの前期の取組みを振り返りながら、グーグルからの要望・改善ポイントを伝えると同時に、パートナーからもグーグルに対して要望を出してもらう。発注者と受注者という関係のままでは、受注者は発注者側に対して意見を言いにくい。しかしそのつけは、品質低下やコスト増の形で、結局は発注者が払うことになる。これを防ぐためには、お互いがビジネスパートナーとしてゴールを共有し、双方向にフィードバックを伝える仕組みが欠かせない。
また、QBRでは業務プロセスの改善だけではなく、中長期的なビジョンの共有、マーケティング戦略の議論もおこなっている。進化の速いデジタルの時代においては自社で取得できるインサイトだけでは不十分であり、異なる視点をオープンに取り入れマーケティング施策に取り込む柔軟性が欠かせない。QBRのようなフォーマルな場だけでなく、世の中のトレンドや新しいマーケティング手法などについて、パートナーとカジュアルな形で日常的に情報交換する機会を持つことも大切だ。