社長への愛にあふれた、エネルギーあふれる1枚
40分ほどすると、徳重さんが椅子の上で伸びをしました。完成が近づいているのでしょうか? 桑原さんは眉間に指をあて、考え込み中。中川さんは、椅子にもたれて、少し離れたところから自分の絵を見つめています。
そこから10分ほどして、3人とも、いったんクレパスの粉を定着させるためのスプレーをかけました。ちらっと中川さんの絵を見た徳重さんが「すごい勢いだね!」と一言。それに対し中川さんは、「これ、社長です」と笑いながら返しました。
そこからまた少し描き足して、開始から50分ほどで3人の絵が描き上がりました。徳重さんは「想像以上に、集中して描けました」とのこと。出来上がった絵は額に入れ、お互いに鑑賞し合います。
机の上に3つ並んだ絵は、それぞれ違うオーラを放っています。
桑原さんの絵には、徳重さんから“地球” “広がり” “常に動く”、中川さんから“流浪の民” “新天地だけどひとつのところに吸い込まれる” “interesting”、Kuniさんから“道をつくる、道を楽しむ”という感想が出てきました。
桑原さんの意図は、「僕が働くうえで大切にしていることは、『変わり続けること』。僕らが挑戦している事業は、まだ誰もやったことがないもので、誰も答えを知らないんです。じゃあ、どうしたら答えが見つかるのか。それは、探し続けるしかない。ゴールのようなものが中心にあり、それに向かって僕らはぐるぐると試行錯誤しながらまわっているんです。その答えに近づけたと思ったら、その道はまた外側に向かっていって離れていく。その繰り返しなんですよね。でもそれを続けることしか、答えに近づく方法はないんです」というものでした。タイトルは、『歩く、淡々と』。海外で、大きなチャレンジを続けているビジネスパーソンの実感がこもった絵となりました。
鑑賞の前から、「この絵、すごいよね」(徳重さん)「素面ではないような勢いがある」(桑原さん)と注目を集めていた中川さんの絵。改めて皆さんの感想を聞くと、“明るい” “健康” “すくすく”(徳重さん)、“WARM” “花畑” “夏” “虫” “DIVERSITY” “GREEN” “エコ”(桑原さん)、“ラテンな笑顔” “情熱”(Kuniさん)という言葉が上がってきました。
この感想を聞いた中川さんは、「全然、意図したところが伝わってないことが分かりました」と苦笑。では、その真意は?
「顔の部分は社長です。働くうえでは攻める気持ちが大切で、そういった信念を持っている社長が、気合を入れてやっていますよということを表しているんです」(中川さん)
徳重さんは、「そ、そういう意味だったの(笑)」と驚いた様子。さらに、中川さんの解説は続きます。
「緑の部分は、じつはユーラシア大陸で、出っ張ってるところがインドです。そこを僕らがとりにいく、食べに行くというイメージです。そして、白いのが僕ら社員。上の社長を助けています。そして、黄色はテラモーターズのマークなんです」
各要素の意味が説明されるたびに、「ほんとだ!」「すごい!」という声が上がり、最後に「右上の部分で日本を表して、タイトルは『日本発メガベンチャー チーム徳重社長』です」とタイトルが発表されると、拍手が起こりました。徳重さんは「インパクトありすぎじゃないの(笑)」と言いながらも、まんざらではない様子。テラモーターズ社員の、徳重社長に向ける愛と信頼が存分に表現された作品でした。
さて、そんな徳重さん自身の絵に寄せられた感想は、“MIX” “中心” “協力” “世界” “力強さ” “台風”(桑原さん)、“しん” “宇宙” “中心” “エネルギッシュ”(中川さん)、“台風の目” “巻き込む” “突破する”(Kuniさん)でした。「パッと見て、すぐ社長が描いた絵だなと思いました」(中川さん)という絵は、どんな作品なのでしょうか。徳重さんの描いた絵、それに込めた想いは、9月10日発売のハーバード・ビジネス・レビュー10月号に掲載されています。