人工知能は3度目のブームを迎えた

 いま、人工知能(AI)は3度目のブームを迎えている。

 AIの開発は、「人間の知能はコンピュータで再現できる」という仮説から始まった。人間の脳は一種の電気回路の集合体であり、電気信号が行き来することで情報処理を行うため、それは理論的にコンピュータでも再現できるはずだという考え方である。

 第1次AIブームは1956~1960年代にやってきた。この時代は、たとえば迷路のスタートからゴールを目指すように、ゴールに至るまでの過程を場合分けし、目的の条件を探索する「探索・推論の時代」である。しかし、明確に定義されたルールの中で答えが導かれる「トイ・プロブレム」(おもちゃの問題)は解けても、複雑化された現実の問題には対応できないことがわかると、AIへの失望感が広がり、ブームは去っていくことになる。