自動化で仕事は奪われるのか

 フロリダ州タラハシー在住のユメイ・ハットは、自動化の進展と、それにより取って代わられる可能性のある職業に関するオックスフォード大学の研究を読んで、こう書いた。「いまある職業の半分が消えてなくなるという見解を知って、自分の子どもの将来についての考え方が変わった」

 ハットの反応は母親としてのものだけではなかった。彼女は企業の経営者であり、新しく登場したテクノロジーについて時折ブログを書いている。コンピュータ化のプラス面を熟知している彼女だが、マイナス面の存在は不気味だ。「子どもたちはどうやって人工知能に対抗していくのだろうか。どんどん減っていくポジションをめぐり、もっと年上で経験豊富な人々と、どのように競い合っていくのだろうか」と彼女は問いかける。

 社会のあらゆる人々が、突如として自動化の進展に大きな不安を感じ始めたようだ。そう、大いに不安を感じなければならないはずだ。人間が失う仕事と釣り合う分だけ人間にあてがう仕事を見つけない限り、失業が社会および精神にもたらす苦悩──景気後退や若年層の失業から、個人のアイデンティティの危機に至るまで──は増すだろう。