――日本の自動車メーカーは自動運転時代に、ビジネスモデルを再構築できるのでしょうか。

  日本のメーカーの自動運転の技術はグーグルにひけをとりません。ただし、ビジネスモデルの設計については、アメリカ企業のほうがはるかにうまいので、そこをどう挽回していくかが大きな課題です。

――完全な自動運転は、いつ頃可能になるとみていますか。

  人間が何もしなくていいという意味の自動運転は、高速道路や幹線道路などで2020年くらいには実用化されると思います。ただ技術的に可能でも、日本の道路交通法は運転手がいないクルマが走ることは想定していません。ですから、当初は、人間が運転席に座って、何かあれば対処できるという形で進むのではないでしょうか。

  自動運転は、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の一つにも位置づけられており、30億円くらいの予算がついています。ここで自動者メーカー各社、国交省、環境省などが集まり、自動運転に使用する地図の共同開発、自動運転の基準づくりなどが進められています。

  自動運転が導入されることによって、実際に事故が減るなど実績が出て、メリットが浸透してきたら、運転手がいなくてもいいのではないかという議論が始まると思います。5年くらいの議論を経て、2030年頃には人間が運転しなくてもいい自動運転が始まるのではないでしょうか。

  そうなった時には、免許を持っていない子どもや身障者、高齢者なども自由に自動運転のクルマを利用できるようになるでしょう。移動の自由が確保されれば、過疎という言葉もなくなるかもしれません。

(構成/竹内三保子 撮影/三浦康史)