人は「機械的なサービス」を嫌うが、人間味あるサービスとは何か。機械学習の進化が進むいま、我々が機械に期待することも変わってくる。

 

戦略の立案が不確実になった時代

 ハーバード・ビジネス・レビューの最新号(11月10日発売)では、人事の特集を組みました。これまでリーダーシップや人材の育成についての特集は何度も取り組んできましたが、意外にも「人事」そのものを取り上げるのは、ここ5年ほどはありませんでした。

 ありそうでなかったテーマを取り上げたのは、いまの企業にとって最も大切な経営資源は「人」に他ならないと痛感したからで、その理由は2つあります。

 一つは戦略の重要性が低い時代になったからです。いまどの業界でも過去の延長線ではない、不連続の変曲点に差し掛かっています。過去の延長に未来がないことは誰もわかる。でも、未来を予測するのが非常に難しい時代です。そんな時代に、戦略の計画が有効でなくなり、「走りながら考える」「俊敏に環境変化に対応する」ことが重要な時代になりました。

 戦略はそもそも企業のやるべきこととやらないことを決めることです。戦略が明確であれば、それに必要な人材の要件も自ずと決まります。どの事業分野でどのような戦い方をするか、それに相応しい人材を集めればいいのです。

 しかし計画的な事業戦略より、俊敏な変化から次なる事業機会を見つける今の時代、人材のスペックが定まりにくい。

「組織は戦略に従う」の名言をいま置き換えるなら、「戦略は人材に従う」となるのではないでしょうか。不連続の変化では、どんな戦略が有効か誰もわかりません。試行錯誤しながらいち早く事業機会を見つけた企業が優位性を得る時代、「どんな戦略を実行するか」より「誰が実行するか」の方がはるかに重要になります。