ハーバード・ビジネス・レビューの最新号は「意思決定の罠」。いかに人は客観的な判断が難しいかを痛感させられる1冊。

 

あなたの意思決定スタイルは直感派か論理派か

 直感か論理か――これは意思決定を巡る議論で必ず出てくるテーマです。そして、たいがいこの話しをすると両者のどちらかに分かれます。

 私自身、論理的に積み上げて考えるのが苦手なせいか、明らかに直感の信奉者です。そして、直感に頼れば頼るほど、まんざらその成功確率も上がるもので、ますます直感の信奉者へと傾いてしまっています。いまでは、それが自分のスタイルであると半ば開き直ってさえいます。

 そんな自分のスタイルの弱点を認めざるを得ないと悟ったのが、ハーバード・ビジネス・レビューの最新号「意思決定の罠」を自分で編集した後でした。

 この号では、いやというほど、直感に頼る罠が紹介されています。そもそも、人は成功体験しか覚えていない。「直感でうまくいった」経験は蓄積されていても、「直感で失敗した」経験は、なかった経験にしています。まさに私のことです。

 周囲にアドバイスを求めて客観性を高めているつもりでも、都合のいい人にアドバイスをもらっているケースがほとんど。転職の相談は転職経験者にするものだし、望まない離婚に迷っている人は離婚経験者に相談しないものです。背中を押してくれる人を、人は無意識に選んでいるものです。

 このようなバイアスから我々はいかに逃れることができるのか。そのカギは冷静さのマネジメントではないでしょうか。