ビジネスではさまざまな場面で交渉が想定され、それぞれの状況に応じたスキルが求められる。だが、誰もが想像すらできない未知の価値を伝えるうえではどうだろうか。ユーグレナ代表取締役社長の出雲充氏は、ベンチャー企業の交渉においては、その質ではなく数こそが成否を大きく左右すると言う。ミドリムシの可能性を信じ続けて、創業から10年も経たぬうちに東証1部上場まで果たした経営者が、みずからの経験に基づく教訓を語る。

未知の価値を伝える難しさ

 前例がない事業を始めるのはとても難しい。ましてや業種・業界を超え、未知なるものの価値を相手に理解してもらい、提携してビジネスを進めるための交渉となれば困難を極める。私はそれを、ミドリムシの実用化を通して実感した。

 2005年12月16日、我が社ユーグレナは、難しいとされていたミドリムシの屋外大量培養に世界で初めて成功した。