交渉合意の代償として相手に経済的利得などを供与することはできないNGO(非政府機関)。しかも対峙する相手の多くが巨大な権力者である人権NGOの交渉はハードだ。一方、活動の資金源となる寄付集めも、その見返りは提供者の良心的満足感などと、一般的な交渉に比べてハードルが高い。制約条件が多い交渉で、いかに相手を説得して、目的を達成するか。世界で40年近く人権擁護活動を続けるヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の日本代表に聞いた。

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編集部(以下色文字):国際的な人権NGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)。日本代表という立場では、政治家や行政官との交渉案件が多くなりますか

土井(以下略):HRWは1978年に米国で設立された国際NGOで、世界90カ国以上の人権状況を監視しています。政府や社会、民間企業などに働きかけることで人権状況を改善するアプローチを取っています。そのため、交渉そのものが仕事の団体と言っていいと思います。