『ブルー・オーシャン戦略』とは何か

『ブルー・オーシャン戦略』は、チャン・キム=レネ・モボルニュが2005年に刊行した書籍のタイトルである。同書はその後10年間で43か国350万部を超えるベストセラーとなった。

 血みどろの競争を意味するレッド・オーシャンに対し、ブルー・オーシャンは競争の無い世界である。それは青い池や湖ではなく、大きく広がる海でなければならない。ニッチ(すき間)ではなく、成長し続ける市場としての持続期間は少なくとも10年は必要だと言われている。

 ブルー・オーシャン戦略には、バリュー・イノベーション(価値革新)を実現するフレームワークが用意されている。代表的なERRCグリッドは、業界常識から何を取り除き(Eliminate)、何を減らし(Reduce)、何を増やし(Raise) 、何を創造するか (Create) を考えるために使われる(図表1)。左側のER(取り除く・減らす)はコスト、右側のRC(増やす・創造する)は差別化の要素であるため、この方法なら両方同時に追求でき、ポーター流の戦略にも勝てるという。

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図表1 ERRCグリッド
出所)キム=モボルニュ(2013)。

 日本のブルー・オーシャンの事例としては、原著ではQBハウスやNTTドコモのiモードが紹介されている。安部義彦氏と池上准教授の共著による『日本のブルー・オーシャン戦略』では任天堂Wii他が取り上げられた。いずれもコストと差別化を同時に達成し、長期間の競争優位を築いた例である。

 2015年に入山章栄准教授が監訳した『新版 ブルー・オーシャン戦略』では、ブルー・オーシャンの候補となる企業について解説されている。

 たとえば、ジェイ・アイ・エヌはJINSというブランドを創出し、SPA(製造小売)で安価かつ高品質なメガネの新市場を創出した。さらに、パソコンによる疲れ目防止用や花粉カット用などの機能性アイウエアも発売し、視力改善とは異なる新しい便益を顧客に提供している。

 あるいは、リクルートマーケティングパートナーズは、スタディサプリ(旧:受験サプリ)によって、地方の受験生がスマートフォン上で有名な予備校講師の授業をいつでも格安で受講できるという価値を新たに生み出した。

 この2社は、競争の激しい市場にメリハリのある特徴的な戦略で参入して、ブルー・オーシャン戦略の初期条件をクリアした。これらの企業が今後も成長し続けるには、どうすればよいのだろうか。そのヒントはドラッカーの言葉にある。