早稲田大学ビジネススクールの教授陣がおくる人気連載「早稲田大学ビジネススクール経営講座」。約2年にわたり続いてきた連載も、今回が最終回である。川上智子教授にイノベーションとマーケティングをつなぐブルー・オーシャン戦略について語って頂く。

早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所(WABOSI)の設立

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川上 智子(かわかみ・ともこ)

早稲田大学経営管理研究科(ビジネススクール)教授、早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所所長、南洋理工大学ACIフェロー。JPIMジャーナル編集委員、IPDMC国際会議委員。関西大学教授、ワシントン大学フォスター・スクール・オブ・ビジネス連携教授等を歴任。『顧客志向の新製品開発』(2005年刊)で日本商業学会賞・日本経営学会賞をダブル受賞。海外トップジャーナルに論文多数。日本マーケティング学会常任理事、日本商業学会理事。専門はマーケティング論、イノベーション論。

 2016年4月1日付で、早稲田大学総合研究機構に早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所(Waseda Blue Ocean Strategy Institute)通称WABOSI(和星)を新設した。医療とヘルスケア、ITとデジタル化、食と地域創生という3つのテーマを柱に、イノベーションの学術的・実践的研究を行うための研究所である。

 文部科学省科学研究費等の公的資金に加え、初年度は計6社(相模屋食料、ジェイ・アイ・エヌ、日本経営、ネスレ日本、夢の街創造委員会、リクルート・マーケティング・パートナーズ)にご支援頂いている。受託研究や産学共同プロジェクト、セミナーや論文等で学術的成果を社会に還元し、イノベーションを起こす知のプラットフォームとして機能させることが目標だ。

 研究所員は4名で、早稲田大学ビジネススクール(WBS)スクール長の根来龍之教授、入山章栄准教授 、池上重輔准教授と筆者である。さらに、国内外計6大学から8名の招聘研究者が籍を置く。社会科学系が中心だが、理工系2名、知財1名、海外から2名の研究者も参画する。分野横断的に多彩な人材を揃えたのは、専門分野のサイロ化やガラパゴス化を避け、理論と実践のイノベーションを実現する可能性を高めるためである。

 本稿では、ブルー・オーシャン戦略を理解する一つの手がかりとして、イノベーションとマーケティングの交差点という見方を示したい。