いま、多くの企業がビッグデータを利活用し、製品開発やサービス提供の徹底的な効率化を試みている。その時、データの後ろに隠された人間の感情までとらえることができたとしたら、どうだろうか。単なる効率化を超えた先には、新たなビジネスチャンスが眠っているかもしれない。ハーバード大学で数学と物理学を学び、現在、楽天でデータ戦略を担う北川拓也氏は、デジタルの世界で感情価値を生み出すことを目指しているという。その真意を聞いた。

ビッグデータで摩擦を取り除く

編集部(以下色文字):北川さんは理論物理学の世界からビジネスの道に進まれた珍しい経歴をお持ちです。デジタルマーケティングの可能性と課題について伺う前に、楽天ではどのような仕事をされているかをお聞かせください。

北川(以下略):楽天ではビジョンとして「エンパワーメント」(力づける)を掲げています。日本のビジネスにおける大きな特徴として、地方にあるどれほど小さな店舗でも、とてもおいしい食べ物、非常に魅力的な商品を提供していることが挙げられます。夫婦で経営しているような商店でさえも、高品質の製品を生み出している。