画像、音声、文字のスキャン
企業がデジタルの戦略を導入する際、すべての収集データを分類して調べるという大変な作業が新たに生じる。これらのデータは構造化されておらず、形式は多様で、かつてなく大規模だ。特定の事項を探し出すために、多大な労力を費やしてデータを精査することが、1つのプロセスごとに求められる。
しかし、デジタルデータのスキャンに焦点を当てた人と機械の協働によって、少なくとも3種類のルーティン的なデジタル作業を加速できる。
●動画認識
ニューヨーク市を拠点とするクラリファイ(Clarifai)は、動画認識のAPIと関連サービスを提供している。同社の技術は機械学習を利用して、動画中の人、物、シーンを人間よりもはるかに短時間で特定・タグ付けする。あるデモでは、3.5分の動画が10秒で分析されていた。
この技術で人物の属性(たとえば「登山者」)が抽出されるため、広告主は動画と広告のマッチングをより的確にできるようになる。また、編集やキュレーションをする人は、動画群の整理や場面編集をする新たな方法が見出せる。メディア、広告、映像の業界で働く人々の日常作業は、この種の自動編集アシスタントによって劇的に変わるかもしれない。
●画像解析
シリコンバレーを拠点とするメタマインド(MetaMind)は、ヘルスマインドというサービスを提供している。コンピュータの視覚機能を用いて、脳、目、肺の医療用スキャン画像を解析するものだ。ヘルスマインドはディープラーニングの技術を用いて、自然言語処理、視覚情報処理、データベース予測アルゴリズムを実行する。医師はこのサービスによって、画像の解析よりも患者の診断により多くの時間を費やせるようになる。
●文書化・データ入力
機械は、多くの時間を要する文書作成とデータ入力の作業を学習できる。それによって知識労働者は、より付加価値の高い問題解決の仕事に多くの時間を注げる。
ロンドンを本拠地とするアリア(Arria)は、医療、金融から石油、ガスまで幅広い業界の企業に、文書の自動作成ソリューションを提供するスタートアップだ。同社の自然言語処理技術は、文字情報のスキャン、および概念間の関係の認識によってレポートの作成方法を学習する。その後、新たに入ってくるデータを精錬してレポートを作成する。
アリアの実績によれば、このプロセス改革によって知識労働者の生産性は25%向上できるという。あるエンジニアは、文書作成の作業から解放されたことで毎月40時間の節約につながった。