4人が絵に込めた「思い」を聞く
トップバッターは藤原さんです。
「もちろん、売り上げが大事なんですけど……」
会場を和ませたうえで、藤原さんが続けます。
「でも、お客さまやチームのみんなも含めて、みんながHappyというのが、私にとっては大切なことです。それを色で表現するときに選んだのが赤、黄色、緑です。それをもとにカーニバルみたいなものをイメージし、それを表現しようとしました。でも、あまりうまくいかなかったので、少しフラストレーションが残っています」
風船を描いたのは?
「自由を表現しています。心の底では、自由を大事にしていると改めて感じましたね」
タイトルを「田園のカーニバル」とした藤原さん。
「楽しいだけではなく、落ち着いて、穏やかな気持ちで働ける場所。そんな意味を込めて緑の田園を表したかったのだと思います」
「大切にしているのは、ずばり情熱です」
そう語るのは中川さんです。
「その象徴として、真ん中にオレンジ色の部分を描きたいと思いました。本当はもう少し小さく描こうと思っていましたが、太陽が昇っていくように、自分の中の情熱をうまく周囲の人に伝えながら、仕事をしていきたいと思いながら描いているうちに、このような大きさになってしまいました」
それを囲むように描かれた青と緑は?
「基本的には自然体を表現しています。イメージとして緑は草原、青は空、時には青が海にもなります。最初はその自然体の中に、燃えるような情熱がある状態を描こうとしました。でも描いているうちに、自然体は自分が信ずることをしっかりとやり、悪いと思ったことはしっかりと正すことだと思い直しました。社員が自然に笑顔を浮かべながら働ける環境を、私が熱い情熱をもってつくっていきたいという思いが強くなったのです」
そんな中川さんが、絵につけたタイトルは「魂」です。
「さまざまな発見をしながら絵を描けたことが楽しかったですし、自分の思いを新たにしたところもあったワークショップでしたね」
続いて網干さん。
「思いやりと冷静さをテーマに描きました。日ごろから、お客さまに対してもメンバーに対しても思いやりをもって、その人の持っている可能性の最大限を引き出したいと思って仕事をしています。ただ、それは単に思いやりだけあってもできません。全体としては温かい雰囲気のなかで、冷静さを持つことも必要だと思いました。人を叱るのはとても難しいことだと思いますが、思いやりと冷静さがなければ人を叱ることもできません。そんなことを表現しようと思いました」
左側が少し薄暗い色合いになっているのは?
「不安なイメージを表現しています。でもそれは、みんなの温かい気持ちでブロックしていく。そんな意味を込めて、右に伸びていくような構図になっています」
何かに似ていますよね?
「ぶどうみたいですね。右上に伸びながら「おしくらまんじゅう」のようにつながっていく様子を描きたかったのですが、途中でお団子に見えてきて、最終的にはぶどうになりましたね。タイトルは『彩りの木』です。ぶどうではありませんよ」
最後は、松本さんです。
「働くうえで大切にしているのはFairね。公平。自然は基本的に、厳しいときも穏やかなときも、みんなに対してFairですよね」
それでこの絵を?
「実は、座って説明を聞いているとき、外を見ていたら空、海、山というイメージが浮かんできた。『そういえば、僕は今週の土曜日からバケーションだ』と思い出したの。こんなところに行くわけではないけれど、みんなの頭の中にも、自然といえばこんなイメージがありますよね。そんなイメージを描いてみました」
松本さんがタイトルに選んだのは「夏」というワードです。そこには、まさに夏そのものが描かれているように見えました。
この絵に込めた松本さんの思い。詳細はDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー11月号に掲載されているインタビューに書かれています。ぜひご覧ください。
すべてのプログラムを終え、参加者全員での記念撮影に移る前のこと。
ホワイトシップと共同でワークショップを展開するシグマクシスの内山そのさんが、松本さんのそばに歩み寄りました。その手には、赤を基調とした花束が。
「松本さん、お誕生日おめでとうございます!」
会場は万雷の拍手。松本さんは、少し照れたような笑みを浮かべています。
松本さんは、ワークショップが行われた当日の7月20日が誕生日。この日で69歳を迎えました。松本さんは言います。
「昔は、7月20日は海の日だったんですよ。この季節に生まれているから、夏が好きで暑いのが好きで、水が好きなんです。大学は水泳部だしね」
それを聞いて、松本さんの描いた絵がこうなった理由がわかったような気がします。