DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの連載「リーダーは『描く』」は、今回でいよいよ最終回となります。最後を飾るのは、このワークショップを共催しているビジネスコンサルティングファーム、シグマクシス会長兼社長の倉重英樹さんです。一緒に描いたのは、コンサルタントやパラリンピアンなど多士済々。ファイナルにふさわしい真剣さとリラックス感が同居したワークショップの様子をお伝えします。(構成/新田匡央、写真/鈴木愛子)
何度も「描いた」ベテランが集う
2月1日、会場となるシグマクシスのオフィスは、仕切りのない広い空間にさまざまな形のデスクが置かれ、社員のみなさんが思い思いのスタイルで仕事に取り組んでいます。時間になると、その空間を抜けた奥にある部屋に、参加者が三々五々集まってきました。いつものように、ワークショップは参加者の自己紹介とワークショップに対する意気込みの表明から幕を開けました。
とはいっても、4人のうち3人はワークショップの「ベテラン」です。
1人目は福田美沙子さん。入社6年目の中堅です。ここ2年はアシスタントマネージャーとして、アートを活用した企業向けの組織変革プログラム「Vision Forest」プロジェクトに関わっていて、ご自身も20回近く「描く」ワークショップを体験しています。「描く」を知り尽くしたプロフェッショナルと言っても過言ではありません。
「でも、こういう形で参加するのはいまだかつてない感覚で、フレッシュな気分です。社内の人と描くのも初めてなので、今日はいかに『素』を出せるかがチャレンジです」
2人目はAIアナリティクスチームでディレクターを務める溝畑彰洋さんです。
「チームができてちょうど1年。仕事で関わるAIなど最先端テクノロジーを使いこなす企業や人はエネルギーがあふれ、わくわくする人たちばかりです。私のチームもそうありたいと思っていますし、このワークショップで、大切なことを改めて思い返してみたいです」
溝畑さんは、さらに絵に対する思いを吐露します。
「今、絶対に正解がある世界にいるので、逆に正解のない絵は不安で……。誰か、正しく絵を描く方法を教えてくれという気分なんです。そもそも、そこから間違っていることはわかっているんですが、まだそこまで受け入れられていないので」
3人目は倉重英樹さんです。
「ホワイトシップさんに出会ったのが2009年4月。『描く』と『コンサルティング』を組み合わせたプログラムを開始するか検討するにあたって、経営チームの合宿で『描いた』のが初めての経験でした」
そのとき、倉重さんは思ったことがあるといいます。
「これからは感性社会になっていく。私たちはこれまで左脳で考えて生きてきたので、絵を描くことによって右脳を刺激するのはいいかもしれない。それが決断にあたっての大きなポイントになりました」
それから8年。倉重さんはこれまで14回もワークショップに参加してきたそうです。
「でもね、ぜんぜん右脳を使えていない。いまだに左脳で絵を描いているんです。今日こそ右脳で描けるように、チャレンジしたいですね」