なぜ日本企業で経営者人材が不足しているのか

「経営者人材が圧倒的に不足している。早急な育成が最重要の経営課題である」──筆者は経営コンサルタントとしていろいろな企業経営者から相談を受けるが、近年このような発言を聞く機会が多くなっている。なぜか。

 主因は、経営者人材の要件が大きく変わったにもかかわらず、企業が変化に対応できていないことにある。

 日本経済の成長期には国内市場の拡大や同質の仕事の増加を前提に、既存の仕事を着実にこなせる人材を一定数確保することが重要だった。終身雇用や年功序列は、日本全体のそうした雇用ニーズから生まれた。その状況での人材育成は、主にオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)が合理的だった。