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社員教育の成否は組織の環境で決まる
企業は、社員教育という名の大盗賊の犠牲者である。米国企業は社員の研修や教育に莫大な資金を投じている。その額は2015年だけで1600億ドル、世界全体では3560億ドル近くに達する。にもかかわらず、それに見合う利益を得られてはいない。社員教育で教えることのほとんどが、組織のパフォーマンスの向上につながっていないのである。なぜなら、社員たちがすぐに従来の方法に回帰してしまうからだ。
我々が調査したある企業(本稿ではSMAと呼ぶ)のマイクロエレクトロニクス製品(MEP)事業部の例を考えてみよう。同社は、リーダーシップや組織の有効性(目的や目標の達成度合い)を改善するための研修プログラムに投資し、MEP事業部はプログラムを最初に導入した事業部門の一つであった。そして、同事業部で働く社員のほぼ全員がこれを受講した。
受講者たちは、このプログラムを非常に効果的だと評価した。彼らはまる1週間の日程で、チームワークが要求される多数のタスクに取り組み、そこでの言動に関して個人とグループの両面からリアルタイムの評価を受けた。その後、学習内容を組織に持ち帰る計画を立てて、プログラムは終了した。なお、受講前後に行った調査からは、受講者たちの態度が変化したことがうかがわれた。