廃止される年次の人事査定

「弊社はもはや、年次の人事査定に関して頭を悩ますことはありません」。ブライアン・ジェンセンがこうと語ると、聴衆である人事マネジャーたちは、あっけに取られた。製剤製品メーカー、カラコンのグローバル人事責任者だったジェンセンは、2002年にペンシルバニア大学ウォートンスクールで行われたこの講演において、自社は望ましい行動を徹底させて業績を管理するための効果的な手法を見つけ出した、と述べた。その中身はというと、上司が部下に、個人目標に関連付けて迅速にフィードバックを与え、週単位で、優れた取り組みをした部下に少額のボーナスを与えるというものだ。

 当時は、従来の査定プロセスとそれに付随する制度をすべて取り止めるのは、型破りに見えた。

 ところが、いくつかの推計によると、いまや米国企業の3分の1以上がカラコンと同じような手法を採用しているという。全米さらには全世界で、年次の人事査定に代えて、上司と部下が形式に囚われずに頻繁に業務状況を確認する慣行が、導入されている。