いまの仕事に大きな不満はないが、別のキャリアへの関心もある。そんなときの正解は、どちらもやることだと筆者は言う。そして、2つ以上の仕事を持つことが、それぞれの仕事に好影響を与えるというのだ。本記事では、筆者の経験に基づき、複数キャリアを持つことの高い価値が示される。


 再生可能エネルギー産業での仕事を希望する弁護士、小説を書きたいアプリ開発者、景観デザイナーに憧れる編集者……そんな人に出会うことは珍しくない。もしかするとあなたも、いまの仕事とはまったく異なるキャリアへの転身を夢見ているかもしれない。

 しかし、私の経験上、こうした人が実際に思い切って職種を変えることはまれだ。転職に伴うさまざまなコストはあまりにも大きく見え、成功の可能性はあまりにも小さく見える。

 だが、いまの仕事に地道に取り組み、満たされないままゆっくりと燃え尽きていくのが正解ではない。正解は、両方をやることだと私は考える。仕事は2つあるほうが1つだけよりいい。そして、2つのキャリアを追求することで、どちらのキャリアにも利益が生まれる。

 私自身は4つの仕事を持っている。フォーチュン500企業のコーポレート・ストラテジストであり、米国海軍の予備役大尉であり、数冊の本の著者であり、音楽プロデューサーでもある。

 よく聞かれる質問は2つ、「睡眠時間はどれくらいですか」と「全部こなす時間をどうやって見つけるのですか」だ(私の答えは「たっぷり眠っている」と「時間はつくります」である)。とはいえ、こうしたプロセスに関する質問は、私の働き方の理由や動機の核心に迫るものではない。より意義深い質問は、「なぜ複数のキャリアを追求するのですか」だろう。簡単に言うと、多くの仕事をしたほうが幸福感、満足感が高いからだ。しかも、それぞれの仕事のパフォーマンスも高まる。

 その理由を説明しよう。