これまで韓国の司法と世論は、財閥関係者の犯罪に対してある程度の寛大さがあった。しかしサムスン副会長イ・ジェヨンへの有罪判決が示すのは、財閥はもはや聖域ではないというメッセージだ。
8月25日、韓国最大の財閥であるサムスンの事実上の後継者、イ・ジェヨン(李在鎔)副会長に対し、懲役5年の判決が下された。彼は2月に、贈賄、財産国外逃避、横領、犯罪収益隠匿、偽証の5つの容疑で告発されていた。それぞれの容疑は一見関連性がないように見えるが、すべては「サムスン支配の継承」という1つの目的を指し示している。
かつて世論は、「韓国経済にとってサムスンがいかに重要かを考えれば、サムスンにとってよいことは韓国にとってもよいことだ」という論調であった。このような風潮から、イ・ジェヨンの父であるイ・ゴンヒ(李健煕)は、1997年にチョン・ドゥファンおよびノ・テウ両元大統領への贈賄、2008年には脱税と背任の罪を、政府から2度にわたり赦免されている。
このため、イ・ジェヨンに対する有罪判決は、「サムスン共和国」とも言われる韓国で一部の観測筋を驚かせた。
イに対するすべての起訴事実をふまえると、韓国の法制度における妥当な判決は懲役10年から15年と思われる。だが、判決内容がどうであれ、有罪判決が示す最大のメッセージは明らかであろう。それは、もはや「どんな大物であろうと牢獄入りを免れることはない」というものだ。