●誤解2:目的は1つしかない

 よく耳にする第2の誤解は、目的は1つに絞られるという思い違いだ。なかには、人生の絶対的な目的を持って生まれてきたように見える人もいる。マザー・テレサは、貧しい人々に尽くすことに人生を捧げた。サミュエル・ジョンソンは、執筆に心血を注いだ。マリ・キュリーは、研究に精魂を傾けた。

 とはいえ、これらの偉人たちでさえ、他にも人生の目的はあった。マザー・テレサはより価値ある使命と信じるものの一環として、貧しい人々に尽くした。ノーベル賞を受賞した科学者のキュリーは、献身的な妻であり、母でもあった(夫ピエールの伝記を執筆し、長女のイレーヌもノーベル賞を受賞している)。そして文学者のジョンソンは、著作物が有名だっただけでなく、地元のコミュニティでは偉大な人道主義者として知られ、しばしば貧しい人々の世話をみずから買って出ていた。

 ほとんどの人にとって、人生には目的が複数ある。私の場合は、子どもたちと結婚生活、信念、執筆、仕事、そしてコミュニティの中に目的を見出している。ほぼ誰にとっても、目的を見つけられる対象が1つということはあり得ない。探すべきは1つの目的ではなく、いくつもの目的だ。つまり、仕事と生活に価値を見出す助けになる意義は、複数の源から見つけられるのだ。

 仕事におけるコミットメントは、この意義のほんの1つの要素に過ぎない。しかも往々にして、仕事は目的の中心ではなく、家族やコミュニティなど他の人たちをサポートするための手段であることが多い。目的には複数の源があることを認識すれば、「人生に意味を与える、たった1つのものを見つけ出さなければ」というプレッシャーから解放される。