フェイスブックを職場で使って
部下と上司が仲良くなるには
ここまでの論考は、主に成功事例を示すことで論証するというものです。これに対して、特集最後の論文は、実験心理学、認知科学、脳神経科学などを研究する、早稲田大学理工学術院教授の渡邊克巳氏が、学術的成果から習慣的な購買行動を生むメカニズムを解き明かしています。既存の習慣を打ち破る方法や、新たな習慣化を促す方法について論じていて、マーケティング活動に活用できます。
特集以外では、ウォルマート・ストアーズとIBMの2人のCEOのインタビューが強力コンテンツです。両者は、世の中で進む技術やビジネスモデルの革新を前に、自社の存続を賭けて変革に取り組んでいます。
今号の編集作業中にウォルマートと楽天の提携発表がありました。両者共通のライバル企業であるアマゾン・ドット・コムへの対抗策という面が強いのでしょう。インタビューでは、ウォルマートCEOのダグ・マクミロン氏にeコマース戦略やグローバル戦略など、アマゾンといかに競争していくかについて突っ込んで質問しています。
また、巻頭論文は、SNSという新しいコミュニケーション方法を社内マネジメントにいかに活かすかを具体的に説いていて、実践的です。
若手社員は、「なぜ職場でフェイスブックを使う必要があるんだろう。自分が昨晩、パーティに行ったことを上司に知ってほしいわけではないのに」と思っています。
若い専門職の約85%が職場のソーシャルツールに苦労しているのに対して、年配の専門職では約95%がこうしたツールが同僚との有効なコミュニケーション手段になると考えている、という調査を提示した上で、このギャップを越えて、「社内SNSを上手に使いこなす方法」を提言しています。(編集長・大坪 亮)